河上氏 国内に閉じた話ではなく,オープンな考え方が大切だと考えます。例えば,実験的な試み,先端的な試みを日本で行い,そこから生まれてくるさまざまな技術やアイデアを世界に売り込むとか,医療観光みたいな形で患者を日本に呼び込むとか。日本では何となく,医療というのはゼロサム・ゲームという発想がありますが,視野を世界に広げていくと,決してゼロサムではなくなってきます。

加藤氏 私がカギになると考えているのは,標準化や互換性です。これは,裏を返せば日本の一番の問題点にもなりかねないところです。企業にしても政府にしても,標準を作れば世界が取れるという安易な思想からなかなか抜けきれないところがあると思います。その結果,本当に大切なところ(競争すべき根幹部分)まで全部標準化してしまい,いろいろな国や企業に参入され,どんどん競争力を失っていくという事例は多々あります。

 デジタルヘルスの分野では今後,必ず標準化や互換性というものが必要になってくると考えています。その際に,何を標準化すべきで,何をやるべきではないのか。たとえ人の足を引っ張ってでも標準化させないところはさせない,という戦略も必要になるでしょう。