COLLEGE 製造業の“本当”を探求
 

第9回:夜の秘密兵器(上)

高野 敦=日経ものづくり
2011/10/27 00:00
出典:日経ものづくり、2005年6月号 、 (記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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【前回より続く】「レジェンド」の商品化に向け,開発は加速していった。インテリアデザインの懸案だった3次元形状の本杢パネルも,量産のメドが立った。

「天童木工さんから電話があったのか。で,できるって?」

 「レジェンド」の開発を束ねる齊藤政昭に,インテリアチームから懸案のM字形に流れるインスツルメント・パネルに関する電話報告が届く。

「そう,それは良かった。一安心だ。じゃあ,これまでの路線で引き続きお願いします。このことは,私の方から,ほかのメンバーにも伝えておきますから」

 デザイン界にその名をはせる天童木工の協力を取り付け,レジェンドにふさわしい,本杢(ほんもく)を使った斬新で高級感あふれるインテリアデザインの実現のメドがようやく立つ。課題が一つ解決した。

 しかし,齊藤には息抜く暇など全くない。レジェンドの開発課題はまだまだ山積みなのだから。連日,課題ごとに設けた分科会に顔を出しては指示を出していく。昨日も,そして今日もだ。どの分科会だっけ。手帳を開いてスケジュールを確認していると,再び電話が鳴り響いた。

辻孝之
現在は,本田技術研究所栃木研究所D5開発ブロック主任研 究員。写真:田中昌

「はい,齊藤です」

「お忙しいところすみません。私は,電装系部品の開発をしている辻と申します。実は,齊藤さんにぜひ見ていただきたいものがありまして,お電話しました」

 またか。齊藤は直感する。新技術の売り込みである,と。実は,この手の電話はさほど珍しくない。自ら開発した新技術を社内に,そして世間にアピールしたい。その舞台として,レジェンドほど輝かしいクルマはほかにないからだ。

「ははぁ,売り込みだね。で,モノは何なの?」

「はい。夜間に歩行者の存在や位置をドライバーに知らせるナイトビジョン・システム。赤外線カメラを使って,暗闇の中に溶け込んだ人間の映像を次々と浮き上がらせるんです。この技術が持つ安全性と先進性は,レジェンドにはまさにピッタリだと思いますが…」

「まさにピッタリ,と言われてもねぇ。君の言う通り,レジェンドには確かに安全性と先進性が必要なんだけど,あいにく既にレジェンドには十分な弾がそろっているから…」

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