こうした流れに、スマートフォン・メーカーも乗る。携帯電話機で世界シェア第2位の韓国Samsung Electronics社は、スマートフォン向けにゲーム配信サービス「Game Hub」を開始。DeNAと共同開発したゲーム配信アプリを、Androidスマートフォン「GALAXY S II」にプリインストールする。台湾HTC社も米国のパソコン向けゲーム配信事業者OnLive社に4000万米ドルを出資するなど、ゲーム分野の強化を視野に入れている。
任天堂はソーシャルで勝負
ソニーがこうしたスマートフォン向けゲーム市場に勢い込んで乗り出す一方で、ゲーム業界のもう一つの雄である任天堂は、その対極にある。同社は、あくまで自社のゲーム専用機の利用を前提としたビジネスの拡大を目指している。
任天堂がゲーム専用機にこだわる理由は、少なくとも二つある。一つは、ハードウエア販売による収益を確保するため。もう一つが、付加価値の高いゲーム・ソフトを売るためだ。
ゲーム機メーカーという立場だけでなく、ゲーム・ソフト会社でもある任天堂の立場では、「お客様にいい意味で驚いてもらうためには、自社のハードウエアとソフトウエアをマッチさせることが最も確実な方法」(任天堂 代表取締役社長の岩田聡氏)との考えがある。このため、任天堂はゲーム専用機の開発を続けているのだ。
ソーシャル性の強化で挑む
「常時携帯、常時接続」という圧倒的に優位な立場にあるスマートフォンとどう対抗し、任天堂のゲーム機で遊ぶユーザーをいかに増やすのか─。
その難問に対する任天堂の回答が、携帯型ゲーム機の最新機種「ニンテンドー3DS」である。3DSには、消費者の購買意欲を高める数々の工夫が盛り込まれている。中でも、スマートフォンのように、ユーザーに常に持ち運んでもらうための仕掛けに工夫を凝らした(図7)。