2 0 0 3年の日本国内におけるデジタル・スチル・カメラ市場でトップシェアを握るキヤノン。その原動力となったのが「IXY DIGITALシリーズ」だ。
2 0 0 3年のデジタルカメラ販売台数は全世界で4 3 4 1万台(カメラ映像機器工業会調べ)。
そのうち2 1%の8 7 0万台を同社が占める。今でこそ飛ぶ鳥を落とす勢いのIXY DIGITALシリーズだが,その歴史は挫折の連続だった。物語はある1 台のカメラの誕生から始まる。
IXY DIGITAL
物語はある1 台のカメラの誕生から始まる。
目次
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第5回:そして,夢は叶う
デジタルカメラの画素数競争で1 サイクル遅れていたキヤノン。心臓部にビデオカメラのIC を流用していたために,デジタルカメラの画素数が変わるたびに特殊なI C を開発。それに手間取っていた。そこに気付いた同社は,特殊なI C を使わずに済む,デジタルカメラ専用のプロセッサ「映像エンジン」で巻き返しを…
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第4回:反撃の狼煙
1995 年,カシオ計算機の「QV-10」のヒットにより,コンシューマー向けデジタルカメラ市場が立ち上がる。この新しい市場に,カメラメーカー,電機メーカーがこぞって参入する中,キヤノンだけは蚊帳の外に置かれていた。当時手掛けていた業務用デジタルカメラの開発に手間取っていたからだ。後発のハンデを取り戻…
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第3回:怠けてるわけじゃない
ロサンゼルス・オリンピックでのカラー画像の電送実験を無事乗り切ったキヤノン開発陣。その勢いを駆って約2 年という短期間で業務用の電子スチルカメラを製品化し,「世界初」の称号を手中に収める。だが,市場の反応は芳しくない。プロ向けとしては画質がまだまだ足りないのだ。それならばと民生用に舵を切り替え,電子…
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第2回:冷ややかな反応
先行するソニーに負けまいと,電子スチルカメラの開発に本腰を入れ始めたキヤノン。開発陣は2000 件の特許出願を目標に基礎技術を固めるなか,突然,実用化時期の半年前倒しを命じられる。1984 年夏のロサンゼルス・オリンピックで,読売新聞社と一緒にカラー画像の電送実験をしようというのだ。無謀な日程にもか…
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第1回:プライドを懸けて
2 0 0 3年の日本国内におけるデジタル・スチル・カメラ市場でトップシェアを握るキヤノン。その原動力となったのが「IXY DIGITALシリーズ」だ。2 0 0 3年のデジタルカメラ販売台数は全世界で4 3 4 1万台(カメラ映像機器工業会調べ)。そのうち2 1%の8 7 0万台を同社が占める。今…