白熱電球の代替として注目を集めるLED電球。消費電力の低さが特徴だが、白熱電球よりも値段が高いことに加え、「大きい」「重い」といったデザインなどの違いを課題とする声は多い。そこで本誌は今回、多種多様なLED電球が販売され、かつ生産拠点が集まる東アジア地域のLED電球を分解・調査し、こうした課題への対処方法をあぶり出した。そこで分かったのは、「日本メーカーはデザイン重視、海外メーカーはコスト優先」という設計思想の違いだった。
このことを端的に表しているのが、LED電球の筐体である。海外メーカーのLED電球はいずれも放熱フィンを備えているのに対し、日本メーカーの製品には放熱フィンがないものがある。一見、放熱フィンがない方が安く思えるが、実は耐熱性の高い部品が必要になるためコストは下がらない。放熱フィンをなくしたのは、「デザイン性を高めるため」(東芝ライテック)である。同社に限らず、多くの国内メーカーはLED電球の形状を白熱電球に近づけることに注力している。これに対し、海外メーカーのLED電球は「愚直ともいえる設計によって、コストを削減している」(分解に協力した技術者)とみられる。
こうした外観の違いに現れる設計思想の違いを具体的に見ていこう。
筐体の表面温度に差
今回分解したLED電球は、韓国や中国、台湾で販売されているものから無作為に選んだ8品種、これに日本からは外観が最も白熱電球に近い品種を加えた合計9品種である(図1、表1)。いずれもE26/27という一般的な口金を備えている。カタログ値は消費電力が4~7.5W、全光束が210~600lmの範囲にある。消費電力と全光束が近い東芝ライテックの7.2W品、韓国Samsung LED社の7.1W品、中国Kingsun Optoelectronic社の7.5W品をグループAとし、それ以外をグループBとした。