COLLEGE 製造業の“本当”を探求
 

第3回:このままだと間に合いません

根津 禎=日経エレクトロニクス
2011/08/16 00:00
出典:日経エレクトロニクス、2010年10月4日号 、pp.102~105 (記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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【前回のあらすじ】 2009年4月,PS3用地デジ視聴・録画キット「torne」の開発が,正式なプロジェクトとしてついに動きだした。発売目標は2009年度内。遅くとも2010年3月が期限だ。与えられた実際の開発期間は9カ月ほどと,あまりに短かった。

左上と右上の画像はそれぞれ,torneの録画データ の管理画面とトップ・メニューである。その下にあるのは,その試作画面。下側の写真の人物は,左から渋谷清人氏,石塚健作氏,西沢学氏である。

(写真:人物はすべて加藤 康)

「これがいいな」

 2009年6月下旬。外注先のデザイン事務所から上がってきた複数のGUIなどの案を眺めつつ,ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の西沢学はその中の一つに目を留めた。現在の「torne」の原型となる,白を基調とした画面デザインである。これならば,従来のHDDレコーダーのように男性的な印象を与えない。若い女性など,さまざまな層にも受け入れられるだろう。torneのUI設計などを担当する,ゲーム・デザイナーの西沢は,こう思った。

 しかも,白であれば,黒を基調とするプレイステーション 3(PS3)のGUI「XMB(クロスメディアバー)」と差異化しやすい。あえて対照的な色使いをしてユーザーの心理状態を切り替えさせて,「torneの世界」に没頭してもらおう。

 西沢はこのデザイン案をベースに,GUIやアプリケーション(以下,アプリ)などの細かい作り込みを,ソフトウエア開発を担当する石塚健作とともに行っていった。西沢の案を石塚が具現化し,その都度検証して修正する。西沢は,今まで培ってきたゲーム制作のノウハウを応用した。

 GUIは,通常のゲームよりもさらに丁寧に作り込んだ。ユーザーが説明書なしでも操作に迷わないようにすること自体はゲーム制作でも同じだが,torneの場合は,よりハードルが高かった。ゲームの場合,遊びながら操作方法を覚えられる「チュートリアル・ゲーム」がある。ところがtorneには,そのようなものはない。触ってすぐにユーザーが地デジの視聴や録画などを実行できるようにしなければならない。

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