●所在地:愛知県 ●従業員数:7万1116人(2009年3月末現在の国内従業員数)
●主要生産品目:乗用車,住宅

2008年度のトヨタ自動車の二酸化炭素(CO2)排出量とエネルギコストを見ると,生産台数激減の傷跡がはっきりと残されている。図1は,非生産部門も含めた国内のトヨタのCO2排出量だが,2007年度の158万t/年から2008年度は134万t/年と15.2%減った。

 これは,在庫調整に伴う急激な減産のためだ。トヨタは2009年2月に前年同月比64%の減産を国内で実施している。当然,CO2の排出量は減る。

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図1●トヨタ自動車の国内におけるCO2排出量と売上高当たりのCO2原単位の推移
2008年度CO2の排出量は大きく減ったが,売上高当たりのCO2原単位は逆に10%以上悪化した。

コスト指数は大幅悪化だが

 一方,1億円を売り上げるために排出したCO2量(CO2原単位)を見ると,2007年度の13.1t/億円から2008年度には14.5t/億円へと10%強悪化した。工場で使うエネルギのコスト指数の悪化は,もっと著しい。2006年度を100とした国内全12工*1場のコスト指数は, 2007年度は97にまで下がったが2008年度は大きく跳ね上がり,131になってしまった。

*1 国内全12工場 本社,元町,上郷,高岡,三好,堤,明知,下山,衣浦,田原,貞宝,広瀬の各工場。生産子会社は除く。

 一般に生産量が減ると,エネルギの使用量とそれに伴うCO2排出量も減少する。ただし,生産量に比例して減るわけではない。設備の維持などに一定のエネルギが必要になるからだ。この部分は生産量が減っても変わらないため,生産量の減少に伴い,エネルギとCO2の原単位は悪化するのが普通だ。

 生産計画の下方修正が相次ぐ中,それに素早く対応し,最も効率が良くCO2排出量の少ないエネルギを工場に対して供給することは非常に困難だ。実は,以前のトヨタではできなかったが,今回の減産局面では,それが可能になった。既に構築を終えていた見える化システムが大きく貢献したからだ。確かにCO2原単位とコスト指数は悪化したものの,見える化システムによって何とかこのレベルに踏みとどまったのである。

1時間単位で効率を把握