東日本大震災により製造業のサプライチェーンが長期にわたって混乱したことから、生産拠点や調達先を分散させる動きが見られる。だが、モジュラーデザインの概念を提唱し、関連書籍『実践モジュラーデザイン-時代が求めていた新しい解』を日経BP社から出版している日野三十四氏は、単純な分散化はむしろ被災のリスクを高めるため、意味がないと指摘する。

1000年に1度といわれる大震災を受け、設計や部材調達の在り方をどう変えるべきなのか、同氏に解説してもらった。


日野三十四(ひの・さとし)
ものづくり経営研究所イマジン所長、モジュラーデザイン研究会会長

自動車メーカーに30年以上勤務した後、2000年に経営コンサルタントとして独立。韓国の世界的な電子メーカーをはじめ、日本最大手の重工業メーカー、電機メーカー、産業機械メーカー、電力システムメーカーなどでモジュラーデザイン(MD)のコンサルティングを実施してきた。2004年に広島大学大学院教授に就任し、産学連携活動を通じてMDを普及。

2008年に同大学を退職し、経営コンサルティング業を再開。日本アイ・ビー・エムなどコンサルティング各社の顧問を歴任してきた。2011年6月、MDをさらに普及させるべく、コンサルティング会社を中心とした「モジュラーデザイン研究会」を設立。主な著作に『トヨタ経営システムの研究-永続的成長の原理』(2002年にダイヤモンド社から出版、韓国、台湾、米国、タイ、中国、ブラジルで翻訳出版、2003年に日本ナレッジ・マネジメント学会の研究奨励賞を、2007年に米Shingo Prizeの研究賞を受賞)、『実践 モジュラーデザイン-時代が求めていた新しい解』(2009年に日経BP社から出版、韓国で翻訳出版)。他論文多数。