「米Intel Corp.との協業関係は22nm世代にとどまらない。15nm,11nm,そして8nm世代までを視野に入れている」(米Achronix Semiconductor Corp.,Chairman and CEOのJohn Lofton Holt氏)。FPGAベンダーのAchronix社は,同社のFPGAをIntel社の22nm世代のプロセス技術で製造することで合意したと,2010年11月に発表した(図1)。冒頭のコメントは,この発表を受けて実施した本誌の取材で明らかになったもの。
Intel社は22nm世代の最初の製品を2011年後半に生産する予定である。Achronix社はIntel社の22nm世代の技術で製造したFPGAのサンプル出荷を,2011年第4四半期に開始する。
Intel社が生産受託する理由
最先端のプロセス技術について,Intel社はマイクロプロセサなどの自社製品で使い切る「自前主義」を基本としてきたが,今回,その方針を転換して外部から生産を受託することを決めた。今回の提携により,Intel社がAchronix社から請け負う生産量はIntel社の全生産量の1%未満と少ないものの,Intel社は他社との協業を今後も模索していくという。
Intel社がAchronix社から生産を請け負うことを決断した理由は,大きく二つあるとみられる。
第1に,プロセス技術の微細化とともにうなぎ登りになっている半導体工場の建設費用やプロセス技術の開発コストの回収である。例えば,22nm~12nm世代の300mmウエハーの論理LSI工場の建設費用は45億~60億米ドルに達するとされる。パソコン向けのマイクロプロセサを大量に生産できるIntel社ですら,自社の製品だけでは投資の回収がおぼつかなくなる可能性がある。これを外部からの生産受託で補う。
第2に,キー・デバイスになりつつあるFPGAへの傾倒である。Intel社は最近になって,汎用マイクロプロセサなどにFPGAを組み合わせることで,顧客ごとのカスタム対応を図る動きを見せている。実際,Intel社は2010年9月に,マイクロプロセサ「Atom」と米Altera Corp.のFPGAをマルチチップ・パッケージ化したSoC「Stellarton」(開発コード)を2011年前半から出荷する計画を明らかにしている。Achronix社との協業を通じてFPGA技術の獲得を狙っている可能性はある。