射出成形用の金型は、射出成形機に取り付けて、溶けた樹脂(プラスチック)を流して、冷やして固めて製品を得るための機械装置。樹脂による射出成形品は世の中で広く使われており、自動車ではさらなる軽量化の手段として、ますます使われていくと見られる。この射出成形品を得るためには、金型が不可欠だ。

 しかし、金型が成形に使われるときのことを深く考えて、高い品質を保証できる設計が可能な国は、多くはない。新材料も増えてきており、単にこれまでの経験だけに頼るだけでは高品質な金型は設計できない。射出成形技術と金型の第一人者である小松道男氏に、今後の金型設計の方向について解説してもらう。(日経ものづくり)

小松道男(こまつ・みちお)
小松技術士事務所 所長

アルプス電気を経て1993年小松技術士事務所を設立。技術士(機械部門)、(社)日本合成樹脂技術協会理事。プラスチック射出成形金型の開発、射出成形システムの研究、ポリ乳酸(PLA)射出成形ビジネスの事業化、超臨界微細発泡射出成形技術(MuCell)の研究などを展開中。欧米のプラスチック技術、金型技術に精通している。これらに関する特許権・特許出願22件(総発明件数121件)、意匠権3件、商標権1件を保有。著書に「プラスチック射出成形金型設計マニュアル」(日刊工業新聞社)、「はじめての金型技術」(共著、工業調査会)、「インジェクション金型の設計2」(CD-R、NTTデータエンジニアリングシステムズ)など多数。主な受賞は、日本機械学会畠山賞、日本合成樹脂技術協会特別会員など。プラスチック成形加工学会会員、型技術協会会員、SPE(Society of Plastic Engineers, USA)会員。(独)福島高専非常勤講師。