「ハイテック,めっきが無ければローテック」。こう表現するのは,関東学院大学工学部物質生命科学科教授の本間英夫氏だ。めっき技術は,電子部品のはんだ付けや機械部品の耐摩耗性向上など,あらゆる製品の性能向上に欠かせない。にもかかわらず,環境対策の名目で大手メーカーは自社工場からめっき工程を排除。“めっきを知らない技術者”は急増している。本当にそれでいいのか。
連載
新機能付加とコスト削減に効く「めっき最新技術」
目次
-
第4回 カドミウムなしで同等以上の耐食性
半導体の微小部品とは対照的に,航空機の大型部品を得意とするのが,旭金属工業(本社京都市)だ。航空宇宙分野で表面処理製品を手掛けるには,「Nadcap」*7と呼ぶ,航空宇宙関連製品の特殊工程国際認証システムの取得が必須とされる。同社は実は,日本におけるその第一号として,技術力の高さは折り紙付き。そんな…
-
第3回 ウイスカを抑制する新構造
間もなく,今までに類を見ない鉛(Pb)フリーはんだめっきが市場に登場する。電子部品へのめっきを得意とするオーエム産業(本社岡山市)が中心となって,経済産業省の助成金を得て完成させた*5。ウイスカ*6抑制の性能は既存品に比べて高く,金(Au)めっきに代わる高機能・低コストめっきとして今後,注目を集めそ…
-
第2回 ナノめっきの新境地
これまでのめっきの常識を覆し,斬新な技術で「新境地」を開きつつある会社が福井市にある。主に電子部品や半導体の部品を手掛ける清川メッキ工業だ。その新境地とは,母材のサイズが数百nm,そこへめっきする膜厚が数十nm,パターニングなどの皮膜制御もナノレベルという「ナノめっき」である
-
第1回 大手から消え行くめっき技術
めっきの最新技術が今,大手メーカーの間で注目を集めている。「若手を対象に『めっき講座』を開きたいのだが,講師を務めてもらえないか」。そんな問い合わせが,めっき会社に数多く寄せられているというのだ。なぜ今,めっきなのか。その理由に,他の生産技術に比べてコスト削減を図りやすい点が挙げられる。