医療機器に向けた電子技術は数多く存在する。その中でも特に、「きれいに」「小さく」という医療機器のニーズを満たす先端技術を整理した2005年の記事を、シリーズで紹介する。登場するのは、ディスプレイ、A-D変換器、信号伝送、モータ制御、カメラなどの技術の事例である。
「きれいに」「小さく」,医療機器向けの先端技術
目次
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第7回:【カメラ】細さを追求する実装技術極細リベットのかしめがカギ
電子内視鏡のカメラ内蔵ケーブルを小径化すれば,受診者のストレスを減らせるばかりか,用途を拡大できる。医療現場ではカメラ内蔵ケーブルの直径が 10mm近くの製品が多く用いられているが,6mm程度ならば,口ではなく鼻にケーブルを通せるので患者が嘔吐おうと感に悩まされなくなる。直径が4mm を切ると,幼児…
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第6回:【モータ制御】最低限の機能追加で医師の負荷を大幅に減らす
腹部に開けた小さな穴から内視鏡や鉗子かんしを差し込んで患部を処置する内視鏡下手術。この外科手術は開腹といった方法に比べて,患者が受けるダメージが少ない(低侵襲)という大きな利点がある。半面,医師は開腹手術に比べて鉗子などを動かす自由を大きく制限されてしまう。
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第5回:【SiP】難しくなるデジ―アナ混在設計1パッケージ化で解決
SiP(system in package)の進化に医療機器がひと役買う。超音波診断装置メーカーのアロカは,現在出荷中の同装置において,従来,メイン・ボード上に個別部品を組み合わせて構築していた心臓部をSiPにまとめた。SiPの開発はルネサス テクノロジが担当し,8個のA-D変換器ICと1個の画像処…
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第4回:【信号伝送】デジタル・インタフェースが内視鏡の多画素化を加速
電子内視鏡の映像伝送に,デジタル・インタフェースの波が訪れている。これまではCCD型撮像素子が出力するアナログ信号を「プロセッサー」と呼ぶ画像処理装置に入力していた。プロセッサーからディスプレイに対しても,NTSC規格のコンポジット信号などを用いることが多かった。SDTV並みの映像を伝送していたから…
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第3回:【A-D変換器】高分解能で低消費電力のパイプライン型が登場へ
超音波診断装置やX線CT装置といった医療機器で,多用されているA-D変換器IC。ここへきて,診断の精度を高めるなどの目的から,より分解能の高い品種が用いられる傾向が強まっている。医療分野に向けたA-D変換器ICを多数扱っている米Analog Devices,Inc.も「医療分野では,高分解能品へのニ…
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第1回:【総論】先端技術を医療機器へ
最新の医療機器に向けて,さまざまなエレクトロニクス技術の開発が進んでいる。「きれいに」「小さく」という,最近の医療機器のニーズを実現する技術である。「きれいに」に向けてはディスプレイ,A-D変換器IC,信号伝送,SiPなどの技術,「小さく」ではモータ制御やカメラといった技術が,その一例である。これら…
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第2回:【ディスプレイ】コントラストを引き上げ階調をとことん刻む
「液晶パネル・メーカーの真の実力が浮き彫りになる用途だ」――。医療向け液晶パネルの分野でトップ・シェアを握るインターナショナル ディスプレイ テクノロジー(IDTech)のメディカルプロダクツ事業部 事業部長の林口文衛氏は,民生機器向けとの違いをこう指摘する。