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狩集 浩志=日経エレクトロニクス
2011/05/02 00:00
出典:日経エレクトロニクス、2010年12月13日号 、pp.128~129 (記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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三洋電機コンシューマエレクトロニクス 家電事 業部 技術三部 担当部長の白井吉成氏(左)
三洋電機コンシューマエレクトロニクス 家電事 業部 製造統括部 副統括部長の滝口隆久氏(右)

 その後も試行錯誤を繰り返したものの,うまくいかない。細かくならないのは,乾燥した米が非常に硬いためだ。石臼のように砕く方式では,ある粒度以下には細かくならなかった。

 そこで,より細かい粒度にするために,研ぐという方法を思い付く。包丁を研ぐのと同じ砥石を臼の部分に用いた試作機を作製した。これが予想通りの結果を生む。電動石臼よりも細かい粒度の粉ができる。早速,この粉を使ってパンを作ってみると,思った以上に良い焼き上がりとなった。

「白井さん,パンみたいな感じになったよ」

「よし,食べてみよう」

 早勢と白井は早速,パンを取り出して一口ほお張る。

「ん?」

「じゃりじゃりするねぇ」

「まるで砂をかんでいるみたいだな」

 それもそのはず。砥石は軟らかいので,米を研ぎながら砥石の粒子も混じっていたのだ。こうしたことが起こるのは,早勢も白井も実は承知の上での試食だった。粉にしたときから何となく黒っぽいものが混ざっていたのを知っていたからである。それでも2005年春から1年近くがたって,初めて細かい粉になった。その苦労の末にできたパンを食べずにはいられなかった。

 早勢と白井の付き合いは長い。同じ大学の同じ学部に通う同級生だった。同級生の人数が多く,当時は互いを知らなかった二人。ところが,三洋電機に同期として入社してからは,二人とも同じ開発部署に籍を置き,同じ社内の運動クラブで汗を流した仲だ。それこそ「妻よりも長く一緒にいる」ほどの二人だからこそ,じゃりじゃりするパンを何も言わずに食べたのである。

硬い花こう岩を使用

 砥石で試作したパンは失敗したものの,方向性は間違っていないと早勢は感じていた。砥石と同様な方法で,もっと硬い素材を使えばいいのではないかと考え,やがて,硬度が高い天然の花こう岩へとたどり着く。

 花こう岩を使った試作機で米をひいてみると,出来は悪くない。見た目には細かい粒度の粉だ。でも油断はできない。目に見えなくても花こう岩の粒子が入っていては,商品には到底できないからだ。早勢は早速,分析会社に粉の成分を調査してもらう。

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