COLLEGE 製造業の“本当”を探求
 
狩集 浩志=日経エレクトロニクス
2011/04/28 12:00
出典:日経エレクトロニクス、2010年12月13日号 、pp.126~128 (記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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 2010年7月13日,三洋電機は米をパンにしてしまうホームベーカリー「GOPAN(ゴパン)」を発表した。GOPANの最大の特徴は,米をペースト状にするミル機能を設けたこと。米から1斤のパンを作るには,ご飯を炊く際と同様に洗った米220g,水210g,砂糖16g,塩4g,ショートニング 10g,小麦グルテン50g,ドライイースト3gを用いる。「全自動コース」の場合,約4時間でパンが出来上がる。

 家庭にある米を使って気軽にパンを作れる─。これが消費者の心をとらえ,発売前にもかかわらず各種報道やインターネット,口コミで人気が急上昇し,予約が殺到。生産が追い付かないと判断した同社は,当初の発売予定だった同年10月8日を11月11日へと,約1カ月延期する措置を取ることになる。

 だが,それでも対応しきれなかった。発売開始後1カ月とたたない11月25日,今度は,「2011年3月までの販売計画である5万8000台を超える受注があり,12月1日以降は予約注文の受け付けを一時見合わせる」と発表した。既に予約を受けていた受注分に関しては2011年3月末までに出荷。4月27日には受注を再開した(Tech-On!の関連記事)。現在,大人気を博す商品となっているGOPANの開発は,今から5年以上前にさかのぼる。

入手困難な米粉

米を粉にするために作製した試作品。臼の部分には硬い花こう岩を用いた
[画像のクリックで拡大表示]

「白井さん,米を粉にする方法ってありませんか」

「そうですねえ,生米を何とか粉にしたいですねえ」

「じゃあ,お願いしますよ」

「分かりました。早速,早勢さんと相談してみましょう」

 2005年春,その年の秋に発売予定のホームベーカリーの開発がひと段落した鳥取三洋電機では,商品企画を担当する滝口隆久(現・三洋電機コンシューマエレクトロニクス 家電事業部 製造統括部 副統括部長)と,ホームベーカリー開発の取りまとめ役である白井吉成(現・同社 同事業部 技術三部 担当部長)が今後の商品について意見を交わしていた。

 同社は,2003年に業界で初めて米粉を使ってパンを作れるホームベーカリーを商品化した企業である。米粉を使ったパンはもちもちとした新しい食感があり,ホームベーカリー市場の活性化に一役買いそうだった。

 それだけではない。滝川と白井は米粉対応の機種を出した後,日本にも小麦アレルギーでパンを食べられない人たちがたくさんいることに気付く。「小麦アレルギーですが,米粉パンは食べても大丈夫でしょうか」との問い合わせを受けたことがあり,そのときは「この機種では小麦由来のグルテンを使うため,アレルギーを持つ方は駄目なんです」と言わざるを得なかった。

 こうした背景を受けて2005年の新機種では,グルテンを使わずに豆由来のグアガムを用いて小麦ゼロを実現した米粉パンの作製コースを用意したのだった。その開発にメドが付き,今後の商品企画について打ち合わせをしていたのだ。

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