あと15年で日本に並ぶ
現在,上海市の物価は日本の1/3前後である注3)。会社勤めの家庭における2009年の可処分所得の平均は,一人当たり2万8838元(約43万円) である注4)。ちなみに,ファストフード店の店員の年収は30万円前後だ(図2)。「上海では共稼ぎの家がほとんどであるため,年収6万元(約90万円) 前後の世帯が最も多い」(パナソニックの三善氏)という。
注3)地下鉄(市街地内)の料金は2010年5月時点でおおむね4元(約60円)。タクシーの初乗り料金は,12元(約180円)である。
注4)本記事では,1元=15円で換算。
ただし,これらはあくまで平均値。マンションの価格は日本円で数千万円台が当たり前になっており,「富裕層」といえる人が相当数存在するのは確実である。
上海経済圏は今後,同地域単独で,人口と経済規模の点で日本に肩を並べる可能性がある。例えば,人口は南京市や杭州市を含む,上海市から半径約 200km以内の地域だけで約8000万人。上海市と,隣接する江蘇省,浙江省を含めた全体では約1億5000万人で,日本の人口をやや上回る。
一方,上海市と上記2省の2009年のGDPの合計は約100兆円で,日本の約1/4弱に相当する。仮に,同地域が今後も年平均10%の経済成長を続 け,日本が変わらないとすると,15年程度で日本に並ぶ計算となる。その時期は,中国元の切り上げでさらに早まる可能性さえある。