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第2回:ケディカ---「日頃から訓練していたので、冷静に行動できた」

高野 敦=日経ものづくり
2011/04/13 17:56
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 空前絶後の地震と津波が東北地方を襲った2011年3月11日、めっきや表面処理を手掛けるケディカ(本社仙台市)の代表取締役社長である三浦修市氏は、韓国にいた。市街地の巨大モニターに映っていたのは、沿岸部の家屋や自動車を巨大な津波が飲み込むという見たこともない光景。直ちに日本に帰ろうとしたが、最寄りの仙台空港も地震と津波の影響により利用できず、足止めを食った。

社員旅行中に地震発生

 当時、同社では約100人の社員を4つのグループに分けて、交代で韓国への社員旅行を実施していた。三浦氏らは最後のグループとして2011年3月10日から3泊4日で韓国の旅を満喫するはずだった。

 震災後は、韓国でも被災地の様子が連日のように報道されたため、むしろ日本にいるより情報を集めやすかったかもしれないと、三浦氏は語る。とはいえ、会社のトップとしては残された社員や工場の状況が気がかりだ。社員旅行はすぐ切り上げ、仙台に戻ることを決めた。

 しかし、滑走路などが水没した仙台空港は当然ながら利用できない(現在は一部国内線の運行を再開)。結局、地震発生から3日後の2011年3月14日に福島空港に向かう。さらに、一般車両は東北自動車道を通行できなかったので、福島空港から猪苗代、米沢、山形と経由することで同日の夜にようやく仙台市内に入れた。ちなみに、旅行前に仙台空港に停めておいた三浦氏らの自家用車10台は、全て津波で流されてしまったという。

対策はそれなりにやっていた

 翌15日に三浦氏が出社したところ、幸いにも人的被害はなかった。「東北は地震が多く、地震対策はそれなりにやってきた。特にめっきは薬品を使うので、火災や薬品流出を想定した避難訓練を定期的に実施していた。従って、今回の震災でも社員が冷静に行動できた」(同氏)。

めっき槽が並ぶライン
上が震災直後、下が取材時(2011年4月7日)の様子。震災直後はめっき槽からめっき液が漏出していたが、現在は復旧している。
品質検査ライン
平常時の8~9割程度で操業している。2011年4月7日に撮影。

 しかし、工場内ではめっき槽のひび割れ、めっき液の漏出、複数のめっき液が混ざったことによるガスの発生、各種配管・ダクトの損壊、建物の損壊、などの被害があった。加えて、工業用水と都市ガスの供給も止まっており、とてもすぐに生産を再開できるような状況ではなかった。ガスは、めっき液を加熱するためのボイラに不可欠だ。

 こうした混乱に拍車を掛けたのが、ガソリン不足である。三浦氏によれば、仙台市で普通にガソリンが買えるようになったのは、2011年4月4日頃から。それまでは何時間も並ぶ必要があった上、供給量も制限されていた。三浦氏が出社した同年3月15日も、ガソリン不足故に全社員が通勤するのは難しく、復旧作業の中心メンバーだけしか出社できなかった。その間、岩手県北上市にある同社の北上工場からガソリンを分けてもらうことで、しのいでいたという。

 三浦氏によれば、地震の揺れ自体は1978年の宮城県沖地震の方が激しかったという。そのため、致命的な設備の損壊は発生しなかった。しかし、水道やガスなどのユーティリティーの供給が停止したことが、復旧の足を引っ張った。特に工業用水については、同社が入居する「泉パークタウン工業団地」全体に行きわたらせるための配管やバルブが損壊したため、供給開始までにかなりの時間を要した。復旧したのは、ガスが2011年3月27日、工業用水が同月28日である。その間に損壊した設備などを補修し、工業用水の復帰と同じ28日に操業を再開した。その後、同年4月7日や11日にも大きな“余震”が起き、特に7日の余震後は本社工場も北上工場も長時間の停電を余儀なくされたが、現在では平常時の8~9割程度の操業度に回復している。

夜間操業も視野に

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