周波数が問題に
ハードウエア・プラットフォームを握るためのもう一つのカギが,マルチバンドである。LTE端末では,多数の周波数帯(バンド)での送受信に対応することが求められる。
これは,LTEサービスで利用される周波数帯が,世界各地,そして事業者ごとに多種多様に分かれてしまうことに起因する。いわゆるハーモナイゼーション(周波数帯の国際統一化)が進んでいないのだ。「LTEは世界中で,バラバラの周波数で運用開始される。このため,海外用周波数への対応は必須」(富士通 モバイルフォン事業本部 次世代プラットフォーム開発統括部 プロジェクト部長の前田満則氏)。
LTEは主に,3G(IMT-2000)の周波数帯でサービスが開始されるが,多くの携帯電話事業者は,既存のW-CDMAやHSPAサービスで周波数帯を利用済みである。このためLTEには,現行バンドの余剰を活用したり,これまではあまり利用されなかった2.5GHz帯などの周波数帯が用いられたりする。それぞれの地域で周波数をかき集めてサービスが行われるため,周波数の世界統一が難しくなっているのだ(図7)。
世界各地域のLTEサービスの周波数に対応しようとすれば,少なくとも7~9バンドが必要になる(図8)。今ですら複数バンドの3Gに対応するために,RF回路は膨張気味である。LTE端末では,基板の大半をRF回路が占めることになりかねない。