「今年12月から開始するLTEは,下りで最大75Mビット/秒と高速だ。端末とネットワークを組み合わせた,新たなサービスを生み出せる」(NTTドコモ 代表取締役社長の山田隆持氏)。

 光ファイバ通信並みの高速サービスを,いつでもどこでも利用できる時代に,ついに突入する。次世代の高速移動通信規格「LTE(long term evolution)」を利用した通信サービスが,満を持して日本国内で始まるのだ。NTTドコモが2010年12月から,「Xi(クロッシィ)」という名称のデータ通信サービスとして開始する。屋外では最大37.5Mビット/秒,一部の屋内では最大75Mビット/秒と,現行のW-CDMA(HSPA†)に比較して10倍程度の速度となる。

†HSPA(high speed packet access)=WCDMA をベースに,上りおよび下りの通信速 度を高速化させたデータ通信仕様。

図1 LTE端末市場は2013年ごろから拡大へ
LTE端末の出荷数量予測を示した。まずは,ノート・パソコン向けのデータ通信カードとして発 売される。その後,携帯電話機(音声端末)でもLTE対応機が登場し,出荷数が急増する。(図: Infineon Technologies社の資料などを基に本誌が作成)
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 日本だけではない。海外では既に,2009年末からスウェーデンTeliaSonera社が北欧の一部地域でサービスを開始していたが,いよいよ北米大手の米Verizon Wireless LLCがサービスを開始する。このほかにも複数の大手事業者が,2010年末~2011年前半にLTEサービスを開始する予定である。LTEの導入が,世界でようやく始まる格好だ。

 当初はノート・パソコンやタブレット端末などに向けたデータ通信カードが主体だが,2011年後半~2012年には,一般的な携帯電話機(音声端末)でもLTE対応機が登場する。2013年ごろには,LTE対応機が普及価格帯に近くなり,それに合わせてじわじわと出荷数を拡大していきそうだ(図1)。 LTEサービスの加入者数は2014~2015年に世界で1億を突破するという調査結果も報告されている注1)

注1) Juniper Research社は2014年に,そ してInfineon Technologies社は2015年に, 1億加入を超えると予測している。

ケータイだけじゃない