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大槻智洋=台北科技市場研究、NE特約記者
2011/04/08 00:00
出典:日経エレクトロニクス、2011年1月10日号 、pp.80-82 (記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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 Hon Haiグループの課題は,まず中国の華南や華東で顕著な人件費の上昇を緩和するための工場移転(図10)。次に,60歳となった郭氏の後継者を生み出すことである。

タイトル
図10 相場以上に高い賃金で人材をかき集める
Hon Haiグループは,中国の工場労働者の賃金が上昇し続ける中,あえて,より高い賃金を提示することで労働者を集めている。

 工場移転に関して同グループは,インドやベトナムに工場を新設してはいるが,当面は中国内での移転を進める。「インド人は個々の作業効率こそ高いが,中国人以上に会社を簡単に辞める。ベトナムでは所望の納期を実現できない。高速道路の充実や部品メーカーの集積といったインフラが弱いからだ」(同グループの元社員)。

 華中(内陸部)への工場移転の中で比較的うまくいきそうなのが,重慶市のケースだ。HP社の意向に応じて鴻富錦精密電子(重慶)を2009年第4四半期に設立した。同市にはCompal社なども拠点を構える予定で,華東の江蘇省に次ぐノート・パソコンの製造地域に育つかもしれない。

 ただしHon Haiグループは,これまで華南や華東に大量に投資してきた。その同額以上の資金を華中に投じ,今と同じ高速なサプライチェーンを形成するには,かなりの時間を要するだろう注7)。中国にある同グループ企業の簿価(時価ベース)は,華南が1263億台湾ドル,華東が993億台湾ドル。それぞれ全中国グループ企業の簿価の46%,36%を占める(図11)。

注7)「10億米ドル以上投じる予定」と華々しく報じられている重慶市の場合でも,既投資額(鴻富錦精密電子の資本金)は,1億米ドル未満である。

図11 工場移転の道のりは険しい
Hon Haiグループにおける中国のグループ企業が持つ価値をまとめた。累計投資額を各時点で時価評価している(a)。すべてを合わせた企業価値は約7500億円(1台湾ドル=2.7円換算)に達し,その8割は華南と華東の企業である(b,c)。このため,華北や華中の割合を急増させることは容易ではない。
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 一方,後継者問題に対して,郭氏は明確な解を見いだせていない。2008年4月には第一線を退くとしていたが,不況による業績悪化から取り消した5)。 2010年から郭氏は「70歳まで引退しない」と言明しているものの,これまでの1日12時間を超える猛烈な業務執行が体力面で難しくなっていくのは確実である。今確かに言えることは,コネクタ事業を統括する盧氏が一層重要な立場に就くこと,そして中期的にグループを三つ程度に分割した後,それぞれに責任者を置くことのみだ。

参考文献
5) 「鴻海の郭台銘董事長,第一線を引退」,『Y’sニュース』,http://www.ys-consulting.com.tw/news/6516.html,2008年4月1日.

機器メーカーは業容の見直しを

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