Al合金製の外装で剛性を確保
コスト低減を進めつつ,持ち味の薄さには磨きをかけた。最厚部の厚さを初代機の19.4mmから新型機では17.0mmへと2.4mm薄くしている。「最厚部17.0mmは,パソコンではなくケータイの世界」「ここまで薄く小さく仕上げるためには,最初に大きさありきで設計する必要がある」。分解に協力した技術者たちはこう指摘する。
今回,さらなる薄型化のために取り入れたのは,地道な技術の積み重ねである。例えば,前述のキーボードから導光板や絶縁シートを省くことによって約0.7mm薄くするとともに,電池モジュールの厚さを初代機の6.8mmから6.3mmに薄くした。
薄型化に伴い,たわみや持ち運び時の衝撃に耐えられるだけの十分な剛性を筐体に持たせる必要がある。このために,Apple社は初代機に引き続いて,筐体材料としてAl合金を大量に使用した。新型機では,全体の4割を超える重さを筐体材料が占める(図2)。加工には切削を多用しているようだ。
実寸以上に薄く見せる曲線的なデザインを実現するため,メイン基板には特殊な部品を採用した(図3)。「パソコンで見るのは初めて」(パソコン・メーカーの技術者)という,接地用端子だ(図4)。この接地用端子は内部にばねを仕込んでおり,伸び縮みが可能である。こうすることで,曲面でも確実に接地できるようにしている。
部品を固定するねじには,さまざまな長さや大きさのものを使用した。曲面デザインのため場所によって厚さが異なり,それに対応すべくねじの形状を変えているのである。中には,携帯電話機用より小さなものもあった。