ヒットする11型モデル

 初代機のこうした問題点の解決を狙って開発したのが,新型MacBook Airである。

 「売れ行きは好調。中でも,11型品を手に取る人の方が圧倒的に多い」(大手家電量販店)─。発売から2カ月ほどが過ぎた現在でも,新型MacBook Airへの関心は高い。10万円を切る低価格と,ストレージ装置にSSD(solid state drive)を採用したことによる起動の速さなどが,消費者の購買意欲を刺激しているとみられる。薄型・軽量化しつつ,初代機と同等以上の電池駆動時間を確保したことも大きなポイントだ。

 ユーザーの琴線に触れるべく腐心した新型機を支える技術とは何か。本誌は技術者の協力を得て,MacBook Airの11型品を分解し,Apple社が施した工夫を探った(図1)。その結果,構成部品の選定や基板の設計などに,初代機から大きな変更が見られた。

図1 MacBook Air「MC505J/A」の主な構成
筐体下部底面を固定するねじは星形の特殊品で,開けるのは容易ではない。初代機では,一般的な+(プラス)ねじだった。
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 外観のデザインは初代機を踏襲した。Ethernet端子や光ディスク装置などは備えず,「合議制では作れない」(あるパソコン・メーカーの商品企画者)個性を強く打ち出している点は相変わらずだ。

 一方で,USB端子は初代機の1口から2口に増やした。初代機のユーザーから不満が出ていた部分に対して,Apple社が歩み寄った格好だ。13型品では新たにSDメモリーカード・スロットも用意して,写真や動画を取り込みやすくした。

参考文献
1) 浅川ほか,「MacBook Airの高コスト設計に「感性」へのこだわりを見る」,『日経エレクトロニクス』,2008年2月25日号,no.972,pp.11-13.
2) 道本ほか,「ネットブック,第二幕」,同上,2009年7月27日号,no.1009,pp.33-51.