ネットワーク基板には,3G用のモジュールとして,米Qualcomm Inc.の「Gobi2000」が搭載されていた(図3)。Gobi2000は最新の多機能品である。「パソコンで採用されたのはこれが初めてではないか」(パソコン・メーカーの技術者)。最新の品種であるため,多少コスト的にもかさむとみられる。おそらく,それを許容してでも省スペース性を重視し,採用に踏み切ったのだろう。VAIO XでGPSを最初に有効にすると,自動的にGobi2000のドライバが導入される。つまり,GPS機能はGobi2000で実現している。結果として,3Gモジュール以外にハードウエアを増やすことなく,GPS機能を盛り込めた。これがGobi2000を採用した一因と考えられる。

図3 ネットワーク基板
Ethernetのコントローラと,3Gの通信モジュールを装着している。WiMAXモデルではこの部分を差し替える。

 ストレージ装置をSSDに限定し,HDDのオプションを用意しなかった点にもVAIO Xの薄型化へのこだわりを見て取れる。採用したSSDはモジュール型と呼ばれる,部品を実装したプリント基板がむき出しになったもの。HDDのような筐体を省ける分,薄型化や軽量化が可能になる。容量はソニーの直販サイト「ソニースタイル」で選択できる。64Gバイト品では,カスタム版のSSDを採用した(図4)。128Gバイト品と256Gバイト品はインタフェースがSerial ATAの品種を採用している。AtomのチップセットはパラレルのATAしか対応していないため,Serial ATAとの変換ボードを追加した。

図4 SSD
写真の64Gバイト品は,パラレルATAのインタフェースを標準で備えたカスタム品である。128Gバイト品と256Gバイト品は,Serial ATAのコントローラに,パラレルATAの変換機を付けて実装している。