「USBポート2基,Ethernetポート標準搭載」は,これらを省略したMacBook Airへのアンチテーゼにも見える。実際,林氏は「意識していないと言ったらうそになる」と語った。  そこで語った言葉は,メーカーとしての矜恃である。「Apple社の製品を見た日本メーカーの技術者は,『やろうと思えばできる』と評することが多い。しかし,実際にはやれていないのが現実。だから,やった上で,何の言い訳もしない製品を作ろうと考えた」(林氏)。

図1 VAIO Xの主な構成
クラムシェル型のノート・パソコンであり,大きくディスプレイ部とキーボード部に分かれる。キーボード部に電池や基板を,ディスプレイ部に液晶パネルとアンテナを詰め込んだ。
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「センスのいい設計」

 VAIO Xは一般的なノート・パソコンと同様に,大きくキーボード部とディスプレイ部に分かれる。ディスプレイ部には液晶パネル以外に,アンテナが配置されている(図1(a))。VAIO Xには無線LAN,Bluetoothに加え,NTTドコモの3G網へのアクセスが標準で用意されている注1)

注1) ソニースタイルでは,WiMAX対応モデルを選択できる。

 キーボード部を見ると,パームレストの下に電池,キーボードの下に基板を配置している(図1(b))。「整然としていて,センスがいい」(分解に協力したパソコン・メーカーの技術者)。その一つの理由が,大きなメイン基板と,SSD(solid state drive),そしてEthernet,3Gモジュールを搭載するネットワーク基板の三つに,ほぼきれいに分かれている点にある。雑音対策のために苦労して後付けした部品が見当たらない点も,センスの良さを感じさせているという。