「Xperia PLAY」のバッテリー駆動時間に注目している。4型で480×854画素の液晶パネルや1GHz動作のプロセサを搭載しながら,重さは175gと普通だ。スマートフォンとしては苦にならない重さである。公表値の通り,ゲームや通話,Web閲覧などを連続5~6時間楽めるのであれば,十分なバッテリー容量といえるかもしれない。

 さらに,スクリーンが大きくボタン操作が可能な点は,ゲームを楽しむ環境がうまく備わっているといえる。スライド式の開閉機構はファッション性が高く,そうした面での定着も期待できる。宴会などの席でも活躍するアイテムになりそうだ。

 ゲームなどを取り巻くエンターテインメント環境は,アプリケーション・ソフトウエア(以下,アプリ)の販売方法によって大きく変化する時代となった。例えば,ユーザーに女性が増えつつある米Apple社の「iPhone」には敵わないかもしれないが,追随することは十分可能といえる。iPhone用アプリでは,没入感を与える本格的なゲームがあまり見受けられないからだ。

 ソニー・コンピュータエンタテインメントがAndroid端末向けに提供するゲームの配信サービス「PlayStation Suite」が,Apple社のアプリ配信サービス「AppStore」のような市場規模に成長すれば,本格的なゲームを楽しむためにXperia PLAYを選ぶ人も増加することが予想できる。さらに,女性好みの可愛いアプリや音楽ゲームを充実させることで,ユーザー層の拡大が望めると同時に,ゲーム市場における女性層の開拓にも繋がるだろう。

 3D(立体視)に対応していないのは残念であるが,将来的にAR(拡張現実感)のような3次元で遊べるアプリが登場し,「セカイカメラ」のようにユーザーからの情報が反映されることになれば,これまでのゲーム機とは差異化されたXperia PLAYならではの魅力がでてくるだろう。コントローラ操作ができるという強みを活かして,iPhone版ラジコンヘリ「AR Drone」のような実機やロボットを操作するコントローラとしての可能性にも期待したい。

上田 英里
中京テレビ放送 技術局制作技術部 三次元研究プロジェクト研究員
実用性のある多視点映像サービスの提供を実現するため,中京テレビ放送において、三次元映像の研究開発に従事する。