図2 菊池元氏
日立多賀エレクトロニクス家電技術本部家電第一設計部洗濯機設計グループに所属す る。(写真:新関雅士)
図3 水量を一定にする工夫
塩に流れ込む水量が一定になるよう,電気弁の後段に小さな箱を設けた。水はこの箱を通ってから,塩の容器に流れ込む。水の量が多すぎる場合,余分な水はこの箱から排水管に流れるようにした。(写真:新関雅士)

 完璧なアイデアと思われた小池スペシャルにも,量産性という弱点があった。それでもバルブの問題は,菊池元氏の活躍によってなんとか解決できた(図2図3)。

「いやーさすが,見事なもんだ。おまえも成長したなぁ,ほんと。この調子で逆止弁の方もなんとかしてくれや。おまえなら,また,ちょちょちょいーっといじくれば,なんとかなるんだろ?」

 口で言うのは簡単。でも,現実はなかなか厳しい。

「おーい,逆止弁はどうだ?」
「それが…」

「どうした?」
「なんで漏れるのか,さっぱり原因がわからなくって」

「原因がわからない?おまえなぁ,8月の発売まであと3カ月しかないんだぞ」
「いま,予想される要因をリスト・アップして片っ端からつぶそうとしてるんですが,これに結構時間がかかってて」

「何が“結構時間が”だよ。そんな悠長なことやってる場合か。ほんと,間に合わなくなるんだぞ」