用意してあった,プラスチック容器と塩の袋を取り出す(図2)。
「まず,この容器に大さじ1杯ほどの塩を入れ,水道水を注ぎます。この塩は,どの家庭にもある,ごく普通のもので構いません。1kg100円ですから,スポット洗剤などを使ってワイシャツのえり,そで汚れに対処するのに比べれば,大変経済的と言えます」
次に,洗濯機の内側から別の容器を取り出す。
「このイオン交換樹脂が入った容器にさきほどの容器を,こうして重ねます。イオン交換樹脂の容器は,ご覧いただいたとおり,引き抜いただけで楽に取り出せます」
そして,重ねた二つの容器を振る。シャカ,シャカ。シャカ,シャカ。幹部席から眺めると,バーの店員がカクテルを作っているかのような光景だ。
「こうしてイオン交換樹脂に塩水を混ぜると,樹脂はあっという間にリフレッシュされます。あとは,こちらの容器を洗濯機に戻せば終了です」
引き下がれない
リーダの鹿森氏は,幹部の指摘にうなずきながら,それでも反論の機会をうかがっていた。黙ってこのまま引き下がるわけにはいかない。この洗濯機には,高い洗浄力という強力な武器がある。それをなんとかして世に送り出したい。その思いが彼の口を開かせた。