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小谷 卓也=日経エレクトロニクス
2011/01/24 00:00
出典:日経エレクトロニクス、2010年6月14日号 、pp.71-73 (記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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 2010年後半以降,カラー表示が可能な複数の電子ペーパーが,相次いで市場に登場する(図1)。これまでは,実質的にモノクロ表示の電子ペーパーしか実用化されていなかったが,その状況がガラリと変わり始める。

図1 カラー電子ペーパーが相次ぎ市場に
図1 カラー電子ペーパーが相次ぎ市場に
2010年後半以降,複数のカラー電子ペーパーが市場に登場する(a~c)。E Ink社のカラー電子ペーパーに対応するコントローラICも,同年6月にサンプル出荷が始まる(d)。

 中でも最もインパクトが大きいのが,米E Ink Corp.のカラー電子ペーパーの登場だ。同社のモノクロ電子ペーパーは現在,米Amazon.com,Inc.の「Kindle」やソニーの「Reader」をはじめ,世界で販売されているほとんどの電子書籍端末に使われている。その電子ペーパーのカラー版が,いよいよ市場に姿を現すというわけだ。

 2010年5月末に米国シアトルで開催された「SID 2010」で,E Ink社は最新のカラー電子ペーパーの試作品を披露した(図1(a))。「以前の試作品に比べ,格段に見栄えが良くなった」(電子ペーパーに詳しい業界関係者)という声も聞かれるなど,市場投入を目前に完成度も高まりつつあるようだ。同社の親会社である台湾Prime View International Co., Ltd.(PVI社)は,「9.7型と6型のカラー電子ペーパー・モジュールのサンプルが,近く提供可能になる」(ハイディス・ジャパン)としている注1)

注1) ハイディス・ジャパンは,PVI社の子会社であるHydis Technology社の日本法人。

 E Ink社のカラー電子ペーパーに初めて対応する表示コントローラICの量産も,いよいよ始まる。セイコーエプソンが2010年6月にサンプル出荷を始め,同年12月に量産出荷を予定する(図1(d))。月産10万個以上の生産を見込む。

 E Ink社以外のカラー電子ペーパーも続々と出てくる。例えば,富士通研究所と富士通フロンテックは,以前から開発を進めてきた「コレステリック液晶型」のカラー電子ペーパーにおいてコントラスト比を従来比3倍,書き換え速度を同2倍にするなど,性能を大幅に高めた試作品を開発した(図1(b))。この電子ペーパーを利用した製品を,富士通フロンテックが2010年10月ごろに発売する予定である。

 米Qualcomm MEMS Technologies, Inc.(QMT社)は,MEMS技術を用いたカラー電子ペーパー「mirasolディスプレイ」の量産を,2010年後半に始める(図1(c))。「量産性については不明だが,表示性能に関する業界内での評価は高い」(ある電子ペーパー・メーカーの担当者)という。

 このほかにも,オランダLiquavista BVが,2011年の量産を目指す「エレクトロウエッティング方式」のカラー電子ペーパーをSID 2010で披露するなど,枚挙にいとまがない。

今後の行方を左右する

 これら2010年後半以降に登場するカラー電子ペーパーに対して市場が下す評価は,「今後の電子ペーパーの行方を左右する」(ある業界関係者)。カラー電子ペーパーが市場で受け入れられるか否かによって,電子ペーパーの将来の市場規模が大きく変わってくる可能性があるからだ。

 電子ペーパーの主要な用途は,大きく二つある。(1)電子書籍端末と(2)産業用途だ。このうち,特に喫緊のカラー化を迫られているのは(1)の電子書籍端末の分野である。極論すれば,この(1)の分野でカラー電子ペーパーが受ける評価次第で,電子ペーパーが(1)と(2)の両分野で大きく成長し続けていくことができるのか,あるいは今後の市場拡大を(1)よりも(2)に懸けることになるのか,が決まることになる(図2)。

図2 カラー化で市場が広がる可能性も
図2 カラー化で市場が広がる可能性も
カラー電子ペーパーの登場は,電子書籍市場における電子ペーパー端末の応用範囲を広げる可能性もある。(d)。
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