電子ペーパーのカラー化の動きが加速している。
ところが,その行く手にはイバラの道が待ち構えている。
Apple社の「iPad」の登場によって,カラーの表現力に長ける液晶パネルとの対比を余儀なくされるからだ。
市場が下す評価は,電子ペーパーの今後の行方を大きく左右しそうだ。
岐路に立つ電子ペーパー,カラーに向かうもiPadの壁
目次
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第6回:Samsungはどうするのか,考え得る三つのシナリオ
Samsung Electronics社が今後,電子ペーパー市場でどのような一手を仕掛けてくるのか―。今,業界関係者の大きな注目がこの点に集まっている。なぜなら,再編が進む電子ペーパー業界の中で,同社が“浮いた”存在になっているからだ。
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第5回:5~10倍の色再現範囲拡大も
ここまでは,現時点におけるカラー電子ペーパーの評価を紹介してきた。しかし,将来に目を向ければ,前述した(a)カラーの品質や,(b)コストという課題は改善される可能性もある。世界では今,さまざまな方式の電子ペーパーの研究開発が進められており,これらの中から,カラー電子ペーパーに対する評価を覆す技術が登…
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第4回:優位性を保ち続ければ…
コントラスト比や反射率が紙に近く,文字を読みやすいという特徴があるモノクロ電子ペーパーは,液晶パネルに対するコストアップが許容され,採用が進んできた。しかし,以上見てきたように,カラーの品質が液晶パネルに比べて大幅に劣り,コストも高い現状では,iPadのような液晶パネル搭載端末や,Kindleのよう…
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第3回:8型で160gの試作品も登場
一方,電子ペーパーが優位性を打ち出せる点が(c)の軽さ・薄さである。本誌が2010年2~3月に一部の読者モニターを対象に実施した電子書籍の実証実験におけるアンケート結果からも,その点が電子ペーパーの強みとして高く評価されていることがうかがえる。
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第2回:iPad登場で尻に火が付く
ここにきて,電子ペーパー・メーカーがカラー化を強く打ち出している背景に は,米Apple Inc.のタブレット端末「iPad」の登場がある。E Ink社をよく知る業界関係者は,「これまでE Ink社はカラー化に本腰を入れてこなかったが,iPadの登場で,正直,焦り始めている。ようやくカラー化に本気に…
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第1回:カラー化の動きが加速
2010年後半以降,カラー表示が可能な複数の電子ペーパーが,相次いで市場に登場する。これまでは,実質的にモノクロ表示の電子ペーパーしか実用化されていなかったが,その状況がガラリと変わり始める。