電動車両などに向けた大容量Liイオン2次電池の量産計画が,続々と決まっている。
まだ,性能は十分ではない。より高容量で安全性に優れるLiイオン2次電池を実現できれば,大きな商機を獲得できる。次世代電池の開発競争が世界中で始まっている。
開発競争始まるLiイオン電池
目次
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第6回:多直時の安全性向上へ,セル・バランスに注目集まる
電気自動車用や家庭用においては,大電圧を確保する狙いから,多数のLiイオン2次電池を直列接続する使い方が増えそうだ。例えば1セル当たり4.2Vの「18650」サイズの電池セルを複数束ね,数十V出力の電池モジュールを構成する場合である。
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第5回:Mgイオンを利用したMg2次電池
Liイオン2次電池におけるLiイオンに変わるイオン伝導体としてMgイオン(Mg2+)を用いた2次電池の開発が活発化してきた。「第50回電池討論会」では,ソニーや埼玉県産業技術総合センター(SAITEC)などから,Mg2次電池の充放電サイクル特性を向上できる新規材料について講演があった。
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第4回:デンドライトの発生を防ぐ
このほか,ポストLiイオン2次電池の候補としては,Li金属電池やLi空気電池などの研究開発が盛んである。このうち,Li金属電池はLiイオン2次電池の実用化以前の1980年代に市販化したが,1989年の発火事故により,現在は1次電池としてしか利用されていない。
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第3回:革新的な電池の実現に向け,基礎的な研究に立ち返る
現状の材料系を替えて,200Wh/kg以上のエネルギー密度を確保したLiイオン2次電池を実用化しようとする動きは今後,ますます活発化しそうだ。その一方で,500Wh/kgを超える革新的な電池の基礎研究も世界中で始まっている。候補として話題に上るのが,Li金属電池や全固体電池,Li-S電池,Li空気電…
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第2回:正極材料の候補を探る
現状のLiイオン2次電池は,正極材料にコバルト酸リチウム(LiCoO2)や3元系のような層状系材料(LiMO2)をはじめ,LiMn2O4に代表されるスピネル系材料(LiM2O4),LiFePO4のようなオリビン系材料(LiMPO4)を用いている注2)。ただし,どの電池も放電時の平均電圧は3V台であ…
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第1回:「物足りない」現状に課題は山積み
大容量Liイオン2次電池の需要を見込み,世界各国では巨大な生産計画が続々と決まりつつある。既に多くの電池メーカーが,採用する正極材料や負極材料,セパレータ,電解液などを決定済みだ。多くの場合,これまで携帯機器向けLiイオン2次電池で先行してきた日本メーカー製の材料が採用されることになりそうだ。