電気自動車(EV)に対する期待が、日増しに高まっている。2020年には世界市場の1割がEVになるという予測も出てきた。ただし、高い電池コスト、短い航続距離、新規参入が容易、という三つのリスクは残ったままだ。日産自動車は、業界に先駆けて数万台規模の量産を始める。はたして同社はこれらのリスクを、チャンスに変えることができるのか、その勝算を探った。
連載
EVはチャンスかリスクか
業界構造の変化に打ち勝つ
目次
-
Part 3:電池の寿命を伸ばす新材料
鉄系材料の開発進む将来はSiの利用も視野に
充放電回数が増えても劣化の少ない材料、エネルギ密度が高い材料、に注目が集まっている。劣化が抑えられれば、電池の寿命を伸ばすことができ、電池を長く使えるようになるからだ。また、エネルギ密度が高ければ、電池の材料は少なくて済む。どちらも電池の低コスト化につながり、EVの普及に不可欠な技術だ。現在の正極材…
-
Part 2:各社の最新EV
内製にこだわる日産プラットフォームは専用設計
日産自動車、三菱自動車、富士重工業のEVメーカー3社の中で、日産の内製へのこだわりは突出している。日産は、EV専用のプラットフォームを新たに設計した。電池容積に合わせたフロア設計で室内空間を確保する。大容量の電池を搭載するが、セルは薄型のラミネート構造であるため、自然空冷で対応する予定だ。これに対し…
-
Part 1:低コスト化が普及のカギ
ガソリン車と同等に価格を下げる
電池事業に参入しIT事業も拡大へ日産自動車が、EVで本格的な攻勢に出た。「2020年には世界の自動車市場の1割、約600万台が電気自動車になる。そのころ当社はEV市場のリーダーになっている」(同社CEOのCarlos Ghosn氏)-2009年8月の電気自動車(EV)「リーフ」の発表会で、Ghosn氏が発言した市場予測は、業界関係…