「バケモノ商品」と呼ばれたプリンタ「Colorio PM-700C」

 セイコーエプソンが1996年の年末商戦に投入したカラー・インクジェット・プリンタ「フォト・マッハジェットColorio PM-700C」は,当時「バケモノ商品」と呼ばれるほど大ヒットした(図A)。

図A カラー・インクジェット・プリンタ「フォト・マッハジェットColorio PM-700C」 セイコーエプソンが1996年11月に発売し,一時期,国内プリンタの市場シェアで約20%を占めるほどの大ベストセラー機種となった。価格は5万9800円。(写真:セイコーエプソン)

 「ウリ」は,銀塩写真に迫る画質の高さである。まず,従来のプリンタに比べてプリント・ヘッドから飛び出すインクの量を1/3にした。これによってインク粒を微細化し,従来プリンタよりも精細な画質を実現できるようになった。さらに,インクの色を従来から使っていた黒,イエロー,シアン,マゼンタの4色に,ライト・シアン,ライト・マゼンダの2色を追加した。このほか,印刷速度を従来に比べて2倍早くし,「高画質=印刷速度が遅い」という概念を打ち破った。

 店頭では,自然画を出力した印刷見本の美しさが,他のプリンタを圧倒していたという。この「PM-700C」の成功をキッカケに,各プリンタ・メーカによる高画質化競争が,その後,ますます激化していくことになる。