中国では日本よりもインターネット・テレビが普及している。その現状と中国市場特有の課題,および将来動向を中国現地の調査会社の視点で分析する。2010年は中国インターネットテレビ端末市場にとって、販売台数が短期間で大きな増減を繰り返し,尋常ではない年になった。その背景には政府の政策が大きく影響している。

大きな増減を繰り返した2010年のインターネット・テレビ販売台数

 2010年のインターネット・テレビ販売台数は大きく揺れ動いた。それは以下の三つのフェーズに分けられる。①年初のブーム,インターネット・テレビの普及が始まった時期,②第2四半期に入って一時的な停滞期に陥った,③第3四半期には再び上昇する機運が見られる。

 当社の調査データによると,それぞれの時期に対して,市場の動きは以下のようになる。①4月に中国小売市場でのインターネット・テレビの販売量は全体のテレビ販売量の12.0%を占め,4.4ポイントも上昇した。前4カ月の販売総量は2009年の年間総量を超え,販売金額は81億5000万元に達した。②2010年4月以後の3カ月間,中国の小売市場でのインターネット・テレビの販売量はテレビ全体の販売量の12%前後にとどまり,インターネット・テレビ市場は景気の谷に入った。③2007年7月に中国の小売市場でのインターネット・テレビの販売量は,テレビ全体の販売量の13.7%に上った。

データの出所:All View Consulting(AVC)
図1 2010年の中国小売市場でのインターネット・テレビの販売規模,およびテレビ全体に占める比率
AVCのデータ。
[画像のクリックで拡大表示]

政策に振り回された2010年上半期

 それぞれの時期での変動の背景を分析すると,以下のようになる。

 ①2010年1月から政府が三網融合(電信・インターネット・有線テレビ放送の三つの「網」の融合)によるマルチメディアを推進する政策を打ち出したことで,中国国内のインターネット・テレビ市場は仕入れ,販売ともに盛んであった。2010年3月に中国国内テレビ・メーカーは各自の製品企画と新製品を集中的に発表したが,その中でインターネット・テレビは非常に重要な地位と大きな比率を占めた。TCL社,CHANGHONG社,SKYWORTH社などのメーカーが構築したコンテンツ・プラットフォームは,映画やテレビ,エンターテインメント,教育,情報など多くの面に及んだ。また,テレビ・セット・メーカーは上流の産業チェーンを組み立てる戦略意図を示した。