第4回:次世代の試作や要素技術が続々
カプセル内視鏡の開発競争は今後,ますます激しさを増しそうだ。先行するGiven Imaging社とオリンパスメディカルシステムズだけにとどまらず,現在,アールエフや韓国IntroMedic社,中国Chongqing Jinshan Science&Technology(Group)社をはじめ,複数のメーカーがカプセル内視鏡への取り組みを進めている注7)。
注7)韓国IntroMedic社のカプセル内視鏡の大きさは,外径11mm×長さ24mm。小腸観察用に設計されているが,食道から大腸まで観察できるとしている。駆動時間は11時間と長い。フレーム・レートは3フレーム/秒で,視野角は150度としている。中国Chongqing Jinshan Science&Technology (Group)社のカプセル内視鏡の大きさは外径13mm×長さ28.4mm。小腸観察用である。駆動時間は7〜9時間とする。フレーム・レートは 2〜15フレーム/秒で,視野角は140度としている。
各社の試作例や要素技術,医療現場からの声などを踏まえると,カプセル内視鏡は今後,大きく五つの方向に進化しそうだ。①小腸以外の器官を観察できる,② 外部から自在にカプセルを動かせる,③さらなる小型化,④電池を内蔵しない,⑤投薬や組織採取といった治療機能を搭載する,である(図5)。この五つは,既に一部で存在するものから,試作中のもの,要素技術が研究されているものまで,そのフェーズはまちまちだが,大まかには番号の順に登場してくる可能性が高い。これらの進化を一歩一歩遂げながら,カプセル内視鏡は「ミクロの決死圏」の世界に近づいていく。
大腸,食道,胃も自在に
①の小腸以外の器官を観察できるカプセル内視鏡については,既に存在する。Given Imaging社が食道用と大腸用を開発しており,海外では既に実用化されている注8)。このほか,胃用のカプセルなども海外の研究機関で開発が進んでいるという。
注8) 食道用カプセルは2004年11月に米国のFDAの認可を取得した。大腸用カプセルは2006年10月に欧州のCEマークを取得した。
小腸以外の器官は小腸よりも太いため,撮影すべき領域が小腸よりも広い。それに合わせてカプセルを大きくすることは患者が飲み込むことを考えると現実的ではないため,何らかの工夫が必要になる。また,口からたどると小腸より奥にある大腸などを観察する場合には,より長くカプセルが稼働している必要がある。
Given Imaging社の食道用と大腸用のカプセルを見ると,このような課題に対処する工夫を施していることがうかがえる。まず,カメラを両端に備えている(図6)。食道用は一つのカメラで1秒間に9枚で計18枚,大腸用は一つのカメラで1秒間に2枚で計4枚を撮影する。つまり,1秒間に2枚撮影する小腸用に対して,フレーム・レートを高めている。これは,より大きな器官に対応させるための工夫とみられる注9)。また,大腸用カプセルの駆動時間は約10時間と長い。これは,小腸用では二つだったボタン電池を三つに増やすことで対応しているようだ注10)。
注9) 本誌の推測であり,Given Imaging社が明らかにしたものではない。
注10) ある医療関係者による情報であり,Given Imaging社が明らかにしたものではない。

もっとも,胃のようにかなり大きな器官を観察する場合には,「胃に対してカプセルが小さすぎるため,何を見ているのか分からなくなる」(ある関係者)といった懸念もある。そこで,②のような外部から自在に動かせる機能の必要性も生まれる。こうした機能が備われば,既存の内視鏡のようにリアルタイム・ビューワと組み合わせて,見たい患部を集中して観察することも可能になる。実現には,例えば磁力などの手段でカプセルを制御する技術が求められるだろう。
―― 次回へ続く ――
バックナンバー
- 第5回:無線給電で駆動する 2010/09/03
- 第4回:次世代の試作や要素技術が続々 2010/09/02
- 第3回:特殊な酸化銀ボタン電池を搭載 2010/09/01
- 第2回:ルーツは軍事技術にあり 2010/08/31
- 第1回:小さな電子部品の塊が実用段階に 2010/08/30














