中国,インド,米国,欧州そして日本─。世界の携帯電話サービス事業者が,雪崩を打って「TD-LTE」と呼ぶ通信方式の採用に動き始めた(図1)。 TD-LTEは次世代の移動通信方式の一種で,NTTドコモが2010年12月に開始予定の「LTE(long term evolution)」の兄弟規格に相当する(図2)。一般的なLTEが,上り方向(携帯電話機から基地局)と下り方向(基地局から携帯電話機)の通信に異なる周波数チャネルを使う周波数分割多重(FDD:frequency division duplexing)方式であるのに対し,TD-LTEでは上り方向と下り方向に同一の周波数チャネルを使う時分割多重(TDD:time division duplexing)方式を利用する。

図1 世界に広がり始めたTD\-LTE<br>China Mobile社だけでなく,米国,日本,インド,欧州など世界中の通信サービス事業者がTD\-LTEの開始を検討し始めた。
図1 世界に広がり始めたTD-LTE
China Mobile社だけでなく,米国,日本,インド,欧州など世界中の通信サービス事業者がTD-LTEの開始を検討し始めた。
[画像のクリックで拡大表示]

 従来,移動通信サービスは,FDDを用いた方式が常に主流だった。上り方向と下り方向にそれぞれ専用の周波数チャネルを割り当てるFDD方式の方が,高速移動時の伝送品質を安定化させやすい,といった理由があるためである。

図2 FDD LTEとTD\-LTEの違い<br>FDDは,上り回線と下り回線に異なる周波数を使う。一方のTDDは,同一の周波数を時分割で切り替えて上りと下りの通信を行う。FDD LTEでは,サブフレームが流れる\#1と\#6の時間に切り替えタイミングを調整する。TD\-LTEでは,上りと下りの送信サブフレーム数の比率を変えることが可能である。
図2 FDD LTEとTD-LTEの違い
FDDは,上り回線と下り回線に異なる周波数を使う。一方のTDDは,同一の周波数を時分割で切り替えて上りと下りの通信を行う。FDD LTEでは,サブフレームが流れる#1と#6の時間に切り替えタイミングを調整する。TD-LTEでは,上りと下りの送信サブフレーム数の比率を変えることが可能である。
[画像のクリックで拡大表示]