COLLEGE 製造業の“本当”を探求
 

第1回:そこにスペースがあったから(上)

山田 剛良
2010/08/17 00:00
出典:日経エレクトロニクス、2007年2月26日号 、pp.112-113 (記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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「このレイアウトだと,前面の先端にスペースができるよね。ここ,何かに使えるんじゃないかな」――。

 2001年秋,富士通ゼネラルの本社の一室にエアコン事業を担当するRAC事業部の技術者が集まっていた。2003年の夏商戦に投入するエアコン新製品に搭載する技術を検討するためだ。室内機のレイアウト案の図面を見ながら意見を出し合っている最中に,一人の技術者が発した何気ない一言が出発点になった。

「だったら,フィルタの自動清掃機構を入れるのはどうだろう?」

メンテナンス・フリー化に先鞭 

 こうして開発が始まった製品は,2003年3月に「nocria」という商品名で発売される。いまや高級エアコンの標準機能になった防塵フィルタの自動清掃機構を他社に先駆けて搭載し,家庭用エアコンのメンテナンス・フリー化に先鞭をつけた製品である。その後の2005年1月,今度は松下電器産業が「X シリーズ」に,富士通ゼネラルとは異なる方式のフィルタ自動清掃機能を搭載して大ヒットさせることになる。

富士通ゼネラルの初代「nocria」のカット・モデル。室内機の筐体の先端部分にフィルタ自動清掃機構を収めている。

 2社が実用化したフィルタ自動清掃機能が受け入れられた大きな理由の一つは,間違いなく「フィルタ掃除」というメンテナンス作業から消費者を解放したからだろう。とりわけ松下電器は当初からこうしたコンセプトを掲げていた。最新モデルはこの方針を推し進め,内部の熱交換機などまで「10年間お手入れ不要」をうたう製品に仕立てている。

 だが,流れの発端をつくった富士通ゼネラルは必ずしも,メンテナンス・フリー性を打ち出すためにこの機能を開発したわけではない。両社の違いは,フィルタ自動清掃機能を実現するためにそれぞれが技術を選んでいく過程にはっきりと現れていた――。

あえて大胆な形状を採用

 富士通ゼネラルの物語は,nocria開発のさらに3年前にさかのぼる。同社は1998年12月に「先進呼吸」と呼ぶエアコンを発売した。室内機の稼働時に前面パネルを上向きに開き,筐体の上面から空気を吸い込む機構を備えた。目的は室内機の内部の気流の改善。当時一般的だった前面から吸気する方式に比べ,室内機の内部を流れる気流が直線的で抵抗が減るため,送風の効率が向上するという考えに基づいていた。

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