画像提供:アイダエンジニアリング

冷間鍛造は、丸棒状などの金属材料を金型でプレスして変形させ、高精度で付加価値の高い立体形状を得られる加工方法である。応力をかけたときに材料が塑性流動する現象を利用しており、材料の強度に比べて小さい応力で加工が可能な場合がある半面、金型にかかる応力をうまく処理しないと金型寿命が短くなってしまう難しさもある。

加工の現場で冷間鍛造を実行するときに、あるいは設計の現場で冷間鍛造を前提とした製品を設計する際には何に留意すべきか。日経ものづくりが2008年6月23日に実施したセミナー「冷間鍛造・精密打ち抜きの基礎と事例」における、講師・中野隆志氏による解説の冒頭部分から概要を抜粋して掲載する。(日経ものづくり)

中野隆志(なかの・たかし)
テクノオフィス凜 代表
1969年アイダエンジニアリング(株)入社,プレス機械の設計に従事したのち(株)成形技術センターに出向,冷間鍛造や板鍛造の工法開発,金型設計に携わる。成形技術センターでは専務取締役に就任。アイダエンジニアリング復帰後,営業技術部長,技術企画室長を歴任し,2010年テクノオフィス凜を開業。2000年通商産業省「素形材技術戦略」鍛造WG委員,素形材センター「素形材技術戦略2008」金属プレス委員などを務め,日本金属プレス工業協会,日本鍛圧機械工業会などでは産業ビジョンの策定などに当たる。2001年に「精密閉塞鍛造装置の開発」で日本塑性加工学会技術開発賞を受賞,2006年に「FCF工法(板鍛造)の工法開発」で日本塑性加工学会最優秀技術賞会田技術賞を団体受賞。著作は日経BP社ビデオ教材「冷間鍛造技術 基礎と応用」,コロナ社「塑性加工入門」(共著)など。