カメラの進化を,メカトロニクスとエレクトロニクスが両輪となって支えるようになって久しい。

 手ブレ補正技術もやはり,メカトロニクスとエレクトロニクスの融合から生まれた華麗な成果である。とはいえ,ここまで普及するには数多くの技術者の,華麗とは程遠い地道で実直な努力の積み重ねがあった。

 発明の始まりはしばしば,意外な出来事が引き金になる。この手ブレ補正技術も,数々の偶然の積み重ねの中から生まれた。それはある技術者が,ハワイを訪れたことから始まる――。