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第5回:iPadの歩留まりにも直結,タッチ・パネルの組み立てに潜む罠

田中 直樹=Tech-On!
2010/06/26 00:00
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 需要が急拡大している静電容量方式タッチ・パネルの組立工程に対する関心がにわかに高まっている。静電容量方式タッチ・パネルは,画面サイズ3型前後のスマートフォン向けだけでなく,10型前後のタブレット端末向けにも使われるようになってきた。対応サイズの大型化に伴って,タッチ・センサ基板と保護カバー・ガラスとの張り合わせが難しくなり,不良の発生が頻発しているからだ。

 静電容量方式タッチ・パネルの組立工程では,ガラス基板に透明導電膜を成膜・加工したタッチ・センサ基板と,強化ガラスに加飾した保護カバー・ガラスを張り合わせる。正確な位置で,気泡が入らないように張り合わせる技術が求められる。

 携帯電話機の液晶画面上に保護フィルムを張り付ける際に,中に気泡が入ってしまったり,保護フィルムが曲がってしまったりした経験を持つ人は多いだろう。例えば,中に気泡が入ってしまうと,液晶画面の画質が劣化してしまう原因になる。タッチ・パネルの組立工程では,これらはすべて不良となる。

 正確な位置に,気泡が入らないように張り合わせる作業は,容易に想像できるように,タッチ・パネルのサイズが大きくなるほど難しくなる。3型前後のスマートフォン向けではそれほどではなかったが,10型前後のタブレット端末向けの量産が本格化したことで,深刻な課題になっている。品薄状態の「iPad」の製造歩留まりに直結する問題といえる。

新しい張り合わせプロセスを提案

 これまで,タッチ・センサ基板と保護カバー・ガラスとの張り合わせは,真空チャンバの中で面全体を同時に張り合わせる手法が一般的だった。また,少しでも歩留まりを高めたい場合には,自動化をあきらめて,人が時間をかけてそれぞれの位置を調整しながら張り合わせていた。

FUKのタッチ・パネル向け張り合わせ装置。写真は,両面テープ付きの保護カバー・ガラスとタッチ・センサ基板の張り合わせ用。
[画像のクリックで拡大表示]

 こうした状況の中,新しい張り合わせプロセスの提案が出てきた。タッチ・センサ基板と保護カバー・ガラスの面全体を同時に張り合わせるのではなく,端から少しずつ張り合わせていく。これを大気中で行う。このような装置を,奈良県にある装置メーカー「FUK」が開発した。液晶パネル用の偏光板張り付け装置で培った技術を応用している。この製造プロセスと装置,および最適化した接着材料を使えば,「張り合わせ工程での不良問題は克服できる」(FUK)と言う。

 また,大気中のプロセスであるため,真空引きなどの待機時間もなく,従来の真空方式に比べてスループットが高い。また,真空ポンプなどのユーティリティが不要なため,装置のコストも低くなるという。

 接着材料には,両面テープと紫外線硬化樹脂のそれぞれが使える。両面テープを使う場合は,まず保護カバー・ガラスに両面テープを張り付ける。次に,これをタッチ・センサ基板と張り合わせる。紫外線硬化樹脂を使う場合は,まずタッチ・センサ基板と保護ガラス・カバーのどちらかに樹脂を滴下する。そして,二つを張り合わせて位置ズレを補正した後に,紫外線を照射して樹脂を硬化させる。

 同社は,この装置を2010年4月に製品化した。今後は,パソコン・モニターやデジタル・サイネージのようにタブレット端末を上回る大画面パネルへの対応や,3D(3次元)液晶ディスプレイや電子ペーパー向けの張り合わせ装置の開発を進めていきたいとしている。

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