一体化技術で,液晶パネル・メーカーの進出が加速

10.1型のオンセル方式の抵抗膜式タッチ・パネル(Samsung Electronics社)
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13.3型のオンセル方式の投影型静電容量式タッチ・パネル(LG Display社)
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 2010年後半から登場する液晶とタッチ・パネルとの一体化技術によって,液晶パネル・メーカーの進出がさらに加速することになりそうだ。こうした一体型パネルは,主に液晶パネル・メーカーが生産することになるからだ。従来のタッチ・パネル・メーカーの出番はなくなる。なお,この動きは,抵抗膜方式や静電容量方式といった方式を問わずに進むことになる。

 2010年5月に開催されたディスプレイ関連最大の学会「SID」の展示会では,液晶パネル最大手の韓国Samsung Electronics Co., Ltd.と韓国LG Display Co., Ltd.が,液晶とタッチ・パネルとの一体化技術を競い合うように展示していた。Samsung Electronicsは,抵抗膜方式タッチ・パネルを一体化した10.1型の液晶パネルと,静電容量方式タッチ・パネルを一体化した13.3型の液晶パネルを披露した。いずれも,2011年に量産化する計画である。LG Displayは,静電容量方式タッチ・パネルを一体化した13.3型の液晶パネルを展示した。量産開始時期は未定だが,同社は「Windows 7」の「Windows Touch」用デバイスのロゴ認証を取得したという。

 液晶パネル・メーカーやカラー・フィルタ・メーカーに加えて,フィルム・メーカーもタッチ・センサ基板の製造に乗り出している。特に,PET(poly ethylene terephthalate)フィルム・メーカーが積極的だ。PETフィルムの供給だけでなく,センサ基板まで製造してから機器メーカーに供給するのである。

 このように,タッチ・パネルにかかわる様々な業界からの参入が相次いでいる。サプライ・チェーンが複雑化する中で,今後は「技術・営業の両面でのアライアンスや資本注入など,異業種の企業も含めた協業が進んでいく」(米DisplaySearch社タッチパネル市場担当アナリストの秋山尊謙氏)ことになりそうだ。