2010年4月に開催された展示会での,タッチパネル・システムズのブース。応用機器にマッチした方式の選択が重要なことを示しながら,各種方式の特徴と,豊富な製品ラインアップをアピールしている。
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 タッチ・パネルには多種多様な方式がある。抵抗膜方式,静電容量方式,光学方式,超音波方式,などなど。いずれの方式も,マルチタッチ,大型化,薄型・軽量化などの技術開発が進んでいるが,あらゆる応用機器に適した万能な方式はない。応用機器にマッチした方式を選択し,賢く使いこなすことが重要である。

 タッチ・パネルの各種方式には,それぞれ一長一短がある。位置検出の分解能は高いが大型化は難しかったり,あるいはその逆だったり,といった具合である。分解能や対応サイズといった“要求項目”に対する優先順位は,タッチ・パネルの用途によって異なる。従って,タッチ・パネルの各方式の長所・短所を正しく理解することが,タッチ・パネルの賢い使いこなしの第1歩となる。その上で,想定する応用機器に求められる項目の優先順位に照らし合わせて,タッチ・パネルを選択していくことが大切である。

 タッチ・パネルに対する主な要求項目は,(1)透過率,(2)対応サイズ,(3)分解能,(4)耐久性,(5)コスト,(6)入力方法である。以降では,代表的なタッチ・パネル方式である抵抗膜,静電容量,光学,超音波の4方式の特性を,上述の要求項目ごとに比較してみる。

透過率の高い超音波方式タッチ・パネル(タッチパネル・システムズ)
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 (1)の透過率は,タッチ・パネルを実装することによる,液晶ディスプレイやプラズマ・ディスプレイの画質劣化を示す指標である。透過率が高いほど,画質劣化は小さくて済む。逆に透過率が低いと,映像表示が暗くなったり,くすんだりしてしまう。

 特に透過率が高いタッチ・パネル方式は,光学方式と超音波方式である。これらは,センサなどの部品を画面の表示領域の周辺部に配置するため,映像表示に与える影響は小さい。一方,抵抗膜方式や静電容量方式では,画面の表示領域の上にガラスやフィルムなどの部品を配置するため,映像表示への影響は比較的大きくなる。抵抗膜方式と静電容量方式を比較すると,静電容量方式の方が有利だといえる。抵抗膜方式のように,電極同士が接触して表面が摩耗したりすることがないためである。

大画面が得意な光学方式タッチ・パネル(ミナトエレクトロニクス)
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 (2)の対応サイズは,方式によって大きく異なる。抵抗膜方式は,現状では22~23型以下の画面サイズに対応できる。静電容量方式は,マルチタッチが可能な投影型と,シングルタッチのみの表面型で分かれる。投影型静電容量方式の対応サイズは,1~2年前までは5型以下だった。ただ,最近では10型前後まで対応できる技術が登場している。一方,表面型静電容量方式は30型近くまで対応する。光学方式は,大画面が得意だ。既に120型まで対応するタッチ・パネルをニュージーランドNextWindow社が製品化している。超音波方式も大画面への対応が容易な技術である。タッチパネル・システムズが46型まで対応するタッチ・パネルを製品化している。