COLLEGE 製造業の“本当”を探求
 

第3回: そうだ,デジタルだ(上)

蓬田 宏樹=日経エレクトロニクス
2010/06/08 00:00
出典:日経エレクトロニクス、2005年3月14日号 、pp.163-167 (記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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前回から続く
左上は1982年に試作した128×128画素のミラー・アレイによるデモ。白黒を反転させて模様を描いた。右上,左下,右下は順に1980年に試作した16×16画 素,1982年に試作した1024×1画素,1984年に試作した2400×1画素のミラー・アレイをそれぞれ集積したチップである。
(写真:林幸一郎)(右上,右下,左下)

変形するミラー・デバイス。
それをLSI上に実現しようという取り組みに着手した
米Texas Instruments Inc.のLarry J. Hornbeck。
実現すれば,プリンターやプロジェクタなどさまざまな応用先があり得る。
しかし,全く新しいデバイス開発であることから思うようには進まない。
製品化の可能性が見えないまま10年の歳月が過ぎようとしていた。

 「もともと,発想そのものに無理があったのではないか…」

 可動する微小ミラーを使って光の進行方向を制御するデバイス。このミラーの角度を電気的に制御して,それをプリンターに応用しようというのが,米Texas Instruments Inc.(TI社)でミラー・デバイスの研究を進めていたLarry J.Hornbeckの狙いだった。

 光学技術にたけていたLarry。TI社には優秀なスタッフもそろっている。そして優れた半導体プロセス技術もある。当時としては,画期的なデバイスが誕生する…はずだった。

カンチレバー型に変わる新たなアイデアを求めて,Larry J. Hornbeckの苦闘は 続いた。
(写真:林 幸一郎)

 しかし,事はそう易しくなかった。Larryが当時期待をかけていたカンチレバー型のミラー・デバイスは,ミラーの角度の安定性を保つのが非常に難しかったのである。

 加えてさまざまな難問がわき上がる。可動するカンチレバーと支持体の連結部となるヒンジは,硬すぎて実用的でないことが分かってきた。当時求めていたのは,薄くて変形しやすいヒンジ。それでなければ,ミラーの角度を高速かつ自由に変化させることができないためだ。

 Larryは新しいカンチレバーの構造を実現するために新たなプロセス技術を導入することで,従来にない薄く柔らかなヒンジを何とか実現することができた。

 しかし,それが逆に,ミラーの動作を不安定なものにしてしまうという状況に陥ってしまった。

10年目の結論

「どうしたらいいんだ…。もしかして,何かとてつもない難題に対峙しているのでは…」

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