(写真:林 幸一郎)
米国テキサス州,最大の都市ダラス。
牧牛とカウボーイの歴史のある町で,1つの技術が産声を上げた。
その技術は長い間世に出ることなく,一時は消滅の危機にさえ見舞われた。
しかし1人の男の長い年月にも及ぶ苦闘をキッカケに今では知らぬ者はいないコア技術と呼ばれるようになった。
その男がどうしてもあきらめられなかった技術――。
それが微小ミラーを使った光学技術「DLP(digital light processing)」である。
米国テキサス州,最大の都市ダラス。
牧牛とカウボーイの歴史のある町で,1つの技術が産声を上げた。
その技術は長い間世に出ることなく,一時は消滅の危機にさえ見舞われた。
しかし1人の男の長い年月にも及ぶ苦闘をキッカケに今では知らぬ者はいないコア技術と呼ばれるようになった。
その男がどうしてもあきらめられなかった技術――。
それが微小ミラーを使った光学技術「DLP(digital light processing)」である。
「おいおい,何だよこれは」スイッチをオンにした瞬間,ガクッときた。ひどい絵だった。
「うーん,これはひょっとすると,すごいデバイスなのかもしれないな」
「納得いただけていないことはよく分かりました。それではどの点を改善すればいいのか,教えてもらえませんか」
すべてのテレビをDLP(digital light processing)に――。これを合言葉に,米Texas Instruments Inc.(TI社)のスタッフは再び,デジタル家電王国である日本を目指した。
南たちはまず,TI社が供給するエンジンをそのまま使ってフロント・プロジェクタを試作した。SVGA画質(800×600画素)のDMDを使ったものだ。
「へえー。これがあのDMD」「光学系まで作り込んである! エンジンとは,これのことか――」 1995年10月。大阪・住之江区の国際見本市会場「インテックス大阪」。エレクトロニクス業界で最大のイベントである「エレクトロニクスショー」の会場で,3人の男たちが,半ば熱にでも浮かされたように展示物を凝視して…
デモを何とか成功させた大原たちとTI社のスタッフは,ひとまずダラスに戻る。DMD用ASICの開発サポートの仕事がまだ途中だったのだ。
1993年,東京・北品川。JRの五反田駅と品川駅をつなぐ「八ツ山道り」。タクシーやバスがひっきりなしに行き交うこの幹線道路の歩道橋の上に,米国・ダラスから来た男たちが立っていた。米Texas Instruments Inc.(TI社)で,DMD(digital micromirror device)…
新たに考案した構造には,これまでLarryを苦しめてきたさまざまな問題を解決してくれる優位な点があった。
変形するミラー・デバイス。それをLSI上に実現しようという取り組みに着手した米Texas Instruments Inc.のLarry J. Hornbeck。実現すれば,プリンターやプロジェクタなどさまざまな応用先があり得る。しかし,全く新しいデバイス開発であることから思うようには進まない。製品化…
Larryの最初の仕事は,メカニカルな構造を持つ微小なミラー・アレイを作ることだった。このミラー・アレイは,Si製のチップ上に金属で被膜した薄いプラスチック板を載せるというもの。Larry自身が編み出したアイデアに基づいていた。彼らは,ニトロセルロースをアンチモンで被膜したミラーをまずは試作して見せ…
米国テキサス州,最大の都市ダラス。牧牛とカウボーイの歴史のある町で,1つの技術が産声を上げた。その技術は長い間世に出ることなく,一時は消滅の危機にさえ見舞われた。しかし1人の男の長い年月にも及ぶ苦闘をキッカケに今では知らぬ者はいないコア技術と呼ばれるようになった。その男がどうしてもあきらめられなかっ…