充電インフラの整備は,プラグイン・ハイブリッド車(PHEV)や電気自動車(EV)が普及しなければ始まらない。しかし,PHEV/EVの普及には,充電インフラが要る。この“鶏と卵”の関係から脱するには,しばらく時間がかかる──。こう考えていると,千載一遇のチャンスを見逃すことになる。もう,充電インフラ市場の争奪戦の火ぶたが切られているからだ。EVの充電インフラの現況を整理したうえで,今後の主導権争いを占う。
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EVの充電インフラがもたらす新たな好機
目次
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第3回:虎視眈々と覇者狙う中国
4兆元(約53兆円)――。中国が今後10年間で電力インフラに投入する投資額である。まさに,“ケタ違い”と言える。この巨額の投資計画に,世界中の企業が沸き上がっている。今や,充電インフラや次世代電力網「スマートグリッド」の国際標準活動の場で「中国の参加者が発言すると,全員が一斉に耳を傾ける」(充電イン…
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第2回:新興企業がなだれ込む米国
世界中で盛り上がり始めた充電インフラ開発の旗振り役は,米Barack Obama政権である。同政権にとって,プラグイン・ハイブリッド車(PHEV)や電気自動車(EV)産業の創出に必要な充電インフラ整備は,欠かせない政策だ。政権の命運を握る「雇用創出」と,エネルギー安全保障にかかわる「脱石油」に,P…
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第1回:日産とGEが手を組むワケ
電気自動車(EV)と次世代電力網「スマートグリッド」――。ともに今,世界各国で激しい開発競争が始まった分野である。この二つの技術分野には密接な関係がある。EVに欠かせない充電インフラの拡充には,双方向の通信を利用したスマートグリッドが必要なことである。EVが普及すれば,電力需給のピーク時間帯などが…