COLLEGE 製造業の“本当”を探求
 

第3回:今度教えられたのは

田野倉 保雄=日経エレクトロニクス
2010/05/04 00:00
出典:日経エレクトロニクス、1998年12月14日号 、pp.147-149 (記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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前回より続く

 「軽い電池を作りたい。そのために,電池の外装缶をなんとかして軽くできないか」。思いをめぐらせていた雨堤徹氏は,ペン立てにあったフェルトペンを見てヒントをつかんだ。フェルトペンのボディはAl合金。しかも,電池の形状に近い。「これを使えば外装缶を作れるかもしれない」との考えが浮かぶ。雨堤氏はさっそく行動を起こした。

 「もしもし,三洋電機の雨堤ですが」。

 ペン立てにあったフェルトペンを見て「電池の外装缶にAl合金を使えるのでは」と考えた雨堤徹氏は,知り合いのAl合金メーカに電話をしてみた。「Al 合金製で,フェルトペンのボディのように電池の形状に近いサンプルを何か持っていませんか」。

 次の日,雨堤氏はそのAl合金メーカを訪ねる。彼が求めるサンプルはなかったが,フェルトペンのボディは「インパクト・プレス」という特殊なプレス方法で加工されていることを知らされる。「インパクト・プレスか…」。初めて耳にする言葉だった。とりあえず,そのメーカに頼み込み,フェルトペンのボディを取り寄せてもらうことにした。

 数日後,雨堤氏の手元に無垢のサンプルが届く(図1)。手に取ると,恐ろしく軽い。「これはいいぞ」。彼は再びAl合金メーカに電話し,インパクト・プレス・メーカを紹介してもらう。今度はそこに押しかけるのだ。

図1 Al合金製のフェルトペンのボディ
取り引きのあったAl合金メーカに依頼し,雨堤氏が手に入れたものである。(写真:日経エレクトロニクス)

これは手品か?

 紹介されたインパクト・プレス・メーカは,ライターのケースなどを生産しているという。加工ラインを目の当たりにして,雨堤氏は我が目を疑った。「手品じゃないのか」。あめ玉程度の大きさのAl合金に,棒状のパンチが上から押し付けられる。すると,Al合金がまるでタケノコのようにニョキニョキと伸びていく(図2)。

図2 インパクト・プレスで加工した試作品
原材料となるAl合金の塊が,インパクト・プレスによって一瞬のうちに角型ケースへと変わる。(写真:本社映像部)

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