医療機器の世界市場は「約20兆 円」(複数の医療機器メーカー)とみられている。これは,国内における電子産業(電子機器および電子部品・デバイス)の生産金額や,自動車(トラック・バスを含む四輪車)の生産金額とほぼ同じである。グラフの数値は,いずれも2004年のもの。電子産業のデータは電子情報技術産業協会(JEITA),自動車のデー タは日本自動車工業会のデータを参照した。このうち日本市場は,世界市場の10%となる約2兆円である。

 かつてはパソコン,そして携帯電話機やデジタル家電へと移行し,最近ではクルマ…。エレクトロニクス技術の成長を支える牽引役は,時代とともに変化してきた。「これから先,どんな分野を牽引役として期待するか?」。この問いに対する技術者からの回答で上位に入ったのが,医療機器である。
 世界の医療機器市場は,国内の電子産業や自動車産業とほぼ同じ約20兆円。国内はこのうち10%に当たる2兆円とされる。この医療機器を取り巻く環境は今,大きな変化点を迎えている。医療のデジタル化,少子高齢化,疾病の多様化,そして国民医療費の続伸…。こうした中,新たな医療機器へのニーズが急速に高まっている。

 そこで医療機器をさらに進化させるためには,より高度なエレクトロニクス技術が必要不可欠になる。技術者が医療機器を牽引役として期待するのは,こうした状況を敏感に感じてのことだろう。最先端の技術を医療機器に投入して大きく育て,民生機器への展開も狙う――。そんな「メディカルで種まき」する事例がここにきて増えている。