富士写真フイルムが大ヒットさせたディジタル・スチル・カメラ「FinePix 700」の開発物語。本体が小さいだけでなく,民生用のディジカメとして初めて150万画素のCCDを搭載した。他社に先駆けた,そのCCDの開発には,こんな
FinePix700の開発
目次
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最終回:藤原紀香サンで、いきます。(下)
年明けて1998年の1月15日。成人の日である。東京では近年まれにみる大雪が降り,翌日の新聞には,振り袖の新成人が雪の中を歩く写真が大きく掲載された。
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第9回:藤原紀香サンで、いきます。(上)
富士写真フイルムのディジカメ開発物語は最終回。発売を3カ月後に控え,設計部は開発の追い込み作業に入っていた。ソフトウエア・グループが不具合の解消に四苦八苦している一方で,ひたすら基板と格闘している技術者。彼には画像に表れるノイズを一刻も早く除去するという使命があった。
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第8回:そのタイミングが微妙なんです(下)
国分氏は,ようやく動作にこぎつけたソフトウエアを,ROMに記録しハードウエア担当グループの一人である山崎彰久氏に渡す。山崎氏はソフトウエア技術にも通じており,両グループの橋渡し役を担っていた。山崎氏は国分氏からもらったROMを早速実機の基板に実装して,動作させてみた。
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第7回:そのタイミングが微妙なんです(上)
富士写真フイルムのディジカメ開発物語は第4回目。デザイン変更を許されない設計部は,なんとか与えられた筐体にすべての部品を詰め込むことに成功する。ところが,完成した試作品はまったく動作しなかった。その暗中模索の真っ只中に一人のソフトウエア技術者が開発に加わることを命じられる。
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第6回:すき間に無理矢理入れちゃえば?(下)
「あ。ここはどう?このすき間に基板を入れちゃえばいいじゃない」。沈黙を破ったのは南雲氏だった。彼が指していたのは,液晶ディスプレイの背面にあるすき間である。
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第5回:すき間に無理矢理入れちゃえば?(上)
富士写真フイルムのディジカメ開発物語は第3回目。縦か横かで紛糾した製品のデザインは,やっとのことで「縦型」に落ち着く。これを待ちかねた設計部がついに動き出す。ところが作成された設計図を見て,担当者は目を丸くする。話があまりにも違っていたのだ。
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第4回:そんなん見てもやる気にならん(下)
こうして悩んでいるうちに時は過ぎ,1997年も4月になろうとしていた。発売まで,あと1年もない。岩部氏から頼まれた締め切りの時期はとっくに過ぎている。設計部のメンバからは,廊下ですれちがうたびに,「早くデザインを決めてくれ」とせかされる。川島氏に対するプレッシャは日に日に大きくなっていった。
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第3回:そんなん見てもやる気にならん(上)
富士写真フイルムが大ヒットさせたディジカメ開発物語の第2回。CCDを子会社に委託することが決まり,いよいよ機器の設計がスタートする。それを統括する岩部氏は,まず川島氏にデザインを依頼する。しかし,待てど暮らせど提案は上がってこなかった。
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第2回:できれば他社にお願いしたいのですが(下)
論点となっていたのは,CCDのデータ読み出し方式をインタレース(飛び越し走査)方式にするか,それともプログレッシブ(順次走査)方式にするかである。
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第1回:できれば他社にお願いしたいのですが(上)
富士写真フイルムが大ヒットさせたディジタル・スチル・カメラ「FinePix700」の開発物語。本体が小さいだけでなく,民生用のディジカメとして初めて150万画素のCCDを搭載した。他社に先駆けた,そのCCDの開発には,こんな紆余曲折(うよきょくせつ)があった。