電子書籍市場に今,数多くの有力企業がなだれ込もうとしている。市場で先行するAmazon.com社とソニーは,参入を狙う多くの企業の背中を押すとともに,成功の要件を明らかにした。「市場の開拓よりも後追いで他社から市場を奪うのが得意」と一般に評されるSamsung Electronics社は,2009年6月から順次,韓国や北米などで電子書籍端末の発売に踏み切る。米Google Inc.は2009年末,電子書籍販売サービスを始める計画だ。これまでマイナーな存在だった電子書籍市場は,さまざまな業態の有力企業が入り乱れ,互いにしのぎを削り合う大混戦の舞台へと変貌する。
連載
電子書籍,メジャーへのページをひらく
目次
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最終回:「Kindle」徹底解剖――サプライ・チェーンからコスト分析まで
オンライン書籍販売最大手のAmazon.com社。決してハードウエア・メーカーではない同社が,電子書籍端末「Kindle」をいかにして作ったのか。実は,Kindleを開発・設計するための子会社を2004年に立ち上げていた。そのKindleは,もはや同社にとって欠かせない大きな収益源になっている。
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第4回:クローズドなKindleに対抗勢力,ソニーやGoogleはオープンを標榜
「アンチKindle」の流れが電子書籍業界でうごめいている。Kindleは専用の書籍販売サイトに,専用の端末というクローズドなモデル。コンテンツにKindle独自の専用フォーマット「AZW」を利用し,Kindle Storeで購入した書籍データは,一部を除いて他社の端末では再生できない。その上で,比…
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第3回:成功の要件が誰の手にも
Amazon.com社とソニーの成功は,電子書籍市場への進出を狙う多くの企業に“自信”を与えることになった。「我々にもできると考え始めた企業は 多い」(複数の業界関係者)。なぜなら,Amazon.com社とソニーが提供したサービスによって,電子書籍事業で成功するために必要な条件が明確に なったのと同…
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第2回:SamsungにGoogleも参戦,市場は好循環に突入
電子書籍市場に今,数多くの有力企業がなだれ込もうとしている。市場で先行するAmazon.com社とソニーは,参入を狙う多くの企業の背中を押すとともに,成功の要件を明らかにした。
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第1回:ソニー対Amazonが明日への道を開拓
「ソニーのエレクトロニクス部門の中では今,“あの事業”がダントツの成長率を誇っているはずだ」(業界関係者)。この事業を知って,驚く読者は多いかもしれない。国内市場で一敗地にまみれ,撤退を余儀なくされた経験を持つ電子書籍事業だからである。