太陽電池の生産量も急増

 世界で日本で,こうした需要の伸びが見込めることから,再生可能エネルギー関連分野は,今後10年以上にわたって市場成長が期待できる。例えば米国では,電力インフラの刷新を目的に,2030年までに1.5兆米ドル(約135兆円)という膨大な投資が行われるという試算もある。

 同分野の市場成長は,さらに長期間続くとの見方もある。「再生可能エネルギーへの投資は,これからまだまだ続く。温室効果ガスの削減や省エネルギーに向けた取り組みには,終わりがないからだ。少なくとも2050年までは続くだろう」(元内閣審議官でスマート減CO2(ゲンコツ)プロジェクト代表の加藤敏春氏)。

 発電デバイスの市場規模も拡大している。例えば太陽電池セルの生産量は,2008年に対前年比87%増の6941MWとなった(図2)。日本の大手であるシャープや京セラ,三洋電機を押さえ,ドイツQ-Cells社や米First Solar社,中国Suntech Power社などが,生産量では上位を占めている。今後,中国や台湾などの新興メーカーを含めて,競争が激化していきそうだ。

【図2 世界の太陽電池生産量の推移】 世界の太陽電池(セル)の生産量は急激に増加しており,2008年の生産量は対前年比87%増の6941MWとなった。メーカーの国名は資源エネルギー庁の資料による。(図:PVNewsおよび『平成20年度 エネルギーに関する年次報告書』(資源エネルギー庁)の資料を基に本誌が作成)
図2 世界の太陽電池生産量の推移
世界の太陽電池(セル)の生産量は急激に増加しており,2008年の生産量は対前年比87%増の6941MWとなった。メーカーの国名は資源エネルギー庁の資料による。(図:PVNewsおよび『平成20年度 エネルギーに関する年次報告書』(資源エネルギー庁)の資料を基に本誌が作成)
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スマートグリッドはHEMSから

 再生可能エネルギーの大量導入時代においてもう一つ注目される分野が,次世代電力網「スマートグリッド」である。気象条件によって発電量が変動しやすい再生可能エネルギーの出力を,大型の蓄電地を使って安定化させたり,ネットワークの制御が可能なセンサを家庭や事業所などの負荷側に設置して,周波数などの電力品質を安定化させたりするものだ。

 スマートグリッドは,米国市場での動きが活発だ。米Obama政権の景気刺激策として,スマートグリッドを含む送電網インフラの設備投資に対し,1兆円規模の予算が計上されたためである。米国のスマートグリッド市場規模は2010年で122.21億米ドルと,年平均9.1%で成長するという試算も出ている(表2)。

表2 米国のスマートグリッド市場規模
(表:Merriman Curhan Ford社およびJAFCO Ventures社の資料を基に本誌が作成)