COLLEGE 製造業の“本当”を探求
 

第2回 情報家電:無線通信内蔵端末に大きな市場性,家電ならではの価値の提供が必須

内田 泰=日経エレクトロニクス
2010/01/15 00:00
出典:日経エレクトロニクス、2009年10月19日号 、pp.106-108 (記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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(前回から続く)

 「音楽に関するあるユーザー調査によると,女子高校生の57%が,カラオケで歌うのが目的で音楽を聴いているそうだ。この新機能を搭載したのは,製品のターゲット・ユーザーである中学生や高校生など若い世代に,ぜひとも1台目のプレーヤーとして買ってもらいたいからだ」注1)。ソニーマーケティング パーソナルAVマーケティング部 統括部長の中牟田寿嗣氏は,2009年9月に開催したウォークマンの新製品「NW-S/NW-Aシリーズ」の発表会で,こう説明した。

注1) 日本レコード協会が2009年3月に公表した「2008年度音楽メディアユーザー実態調査」。中学生から60代まで合計1200人に,音楽の利用についてアンケート調査を実施した。その中で,女子高校生の 57.3%,女子中学生の44.3%が「音楽を聴くのはカラオケで歌うため」と答えた。サンプル数はいずれも75人。

 中牟田氏が紹介した新機能とは,楽曲の再生に同期して携帯型音楽プレーヤーの画面上に歌詞を表示する「歌詞ピタ」と呼ぶ機能である。歌詞を見ながら音楽を聴いたり,プレーヤーの画面をテレビに出力したりすることでカラオケ気分を楽しめる。

 歌詞データを提供するのはシンクパワー。ソニーはシンクパワーと提携することによって,ユーザーが所望の楽曲の歌詞データをインターネットからパソコンにダウンロードし,楽曲と共にウォークマンに転送できるようにした(図1)。シンクパワーは現在,J-POPを中心に7万5000曲分の歌詞データを用意しているという。

図1 ネットの活用で新しいサービスを実現
ソニーが2009年9月に発表したウォークマンに搭載される「歌詞ピタ」という新機能の仕組み。楽曲の歌詞データを提供するシンクパワーと提携し,インターネットから歌詞データをダウンロード。携帯型音楽プレーヤーの楽曲再生時に歌詞を同期して表示する。(図:ソニーの資料を基に本誌が作成)
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大型ヒット商材の不在が背景に

 歌詞ピタの注目すべき点は,家電製品の付加価値につながる機能を,インターネットの力を借りることで実現した点にある。

 近年,国内の家電メーカーは,インターネットの各種サービスを取り込んだ「情報家電」の開発に力を入れている。その背景には,薄型テレビ,デジタル・カメラ,DVDレコーダーなど,2000年代前半に家電市場の拡大に貢献してきたデジタル家電の普及率が軒並み頭打ちになってきている現状がある(図2)。内閣府などの調べによれば,デジタル家電の多くは普及率が既に50%を超えており,今後大幅な市場の拡大は望めない。例えば,デジタル・カメラに至っては,2009年3月時点で普及率が約70%に達した。

図2 飽和に近づくデジタル家電市場
2000年代前半に家電市場を牽引してきたデジタル家電も,普及率の向上によってここ数年は飽和感が強まっている。(図:内閣府経済社会総合研究所「消費動向調査」から抜粋,携帯型音楽プレーヤーのみ総務省の「通信利用動向調査」)
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