未曾有の大不況を経た今,エレクトロニクス産業はどこへ向かおうとしているのか。日経エレクトロニクス編集部は,2010年以降に大きく成長する見込みの市場を探った。自動車,情報家電,半導体,エネルギー,モバイル,医療エレクトロニクスの各分野で,新事業の焦点を概観する。
ELECTRONICS GO FOR 2010
目次
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最終回 医療エレクトロニクス:健康管理に大きな市場あり,医療やバイオでも求められる電子技術
2015年の市場規模は,2007年比で527.9%(機器),713.5%(システム/サービス),159.7%(デバイス)――。リーマン・ショック以降の世界同時不況の影響を引きずるエレクトロニクス業界において,極めて威勢の良い予測が飛び交う市場がある。「ヘルス2.0」とも呼ばれる,エレクトロニクス技…
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第6回 モバイル:コスト競争に陥らぬ道を進み,LTE以降のケータイの姿を探る
国内の携帯電話機メーカーは,厳しい状況に直面している。2007年末に販売奨励金が廃止されたことなどの影響で,2008年度の国内大手3事業者の携帯電話機販売台数は,前年度比23.4%減の3963万台まで落ち込んだ。2009年度は,さらに減る見通しだ。これに伴い,業界再編も進んでいる。2008年には三…
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第5回 エネルギー:低炭素社会への移行を契機に,新エネルギー市場が拡大へ
「化石燃料から非化石燃料への転換に至る過程には,新たな経済成長の可能性が十分にあるだろう。今,その道を誰が最初に見つけるのかの競争に入っている。その中で,環境先進技術に優れた日本の企業は,将来的なポテンシャルが非常に高い」(民主党 参議院議員で外務副大臣の福山哲郎氏)。
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第4回 テレビ:水平分業型への移行が顕著に,勝機は規模の維持と総合力
テレビの販売は目下,リーマン・ショック以降の世界同時不況の影響から立ち直りつつある。その大きな要因となっているのは,「日本のエコポイントや中国の家電下郷注1)など,政府が仕掛けた消費刺激策」(シャープ 代表取締役 兼 副社長執行役員の濱野稔重氏)である(図1)。
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第3回 半導体:事業の絞り込みは怖くない,脱Siに向けた先陣争いへ
半導体業界が,2008年秋の「リーマン・ショック」以降続いてきた長く暗いトンネルから抜け出しつつある。米Semiconductor Industry Association(SIA)の発表によると,2009年8月における半導体の世界売上高(3カ月の移動平均値)は190億6000万米ドルと,対前月比…
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第2回 情報家電:無線通信内蔵端末に大きな市場性,家電ならではの価値の提供が必須
「音楽に関するあるユーザー調査によると,女子高校生の57%が,カラオケで歌うのが目的で音楽を聴いているそうだ。この新機能を搭載したのは,製品のターゲット・ユーザーである中学生や高校生など若い世代に,ぜひとも1台目のプレーヤーとして買ってもらいたいからだ」注1)。ソニーマーケティングパーソナルAVマ…
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第1回 自動車:衰えないクルマの電動化と電子化,先進国でも新興国でも高まるニーズ
「リーマン・ショック」から1年,世界的な不況は底を脱し,日本の製造業が元気を取り戻し始めている。経済産業省が2009年8月末に発表した製造工業生産予測指数によると,2009年8月は前月比2.4%,9月は同3.2%の上昇を見込む(図1)。2008年秋以前の水準には戻っていないが,回復基調にある。